第8章 気になるあの子は
ベックマン side
「もう~…どうするんですか?おばちゃん、絶対勘違いしてますよ…。」
「いいじゃねぇか、別に。」
むしろ好都合だと言った俺に花子はあからさまに面倒臭そうに顔を歪める。
「完全にからかってますよね?」
「本心だが?」
「はいはい。」
ジルさんの店の前に着き律儀に礼を言い荷物に手を伸ばす花子の手を掴み引き寄せた。
「うわっと…なん「なぁ…花子。」
ムッとした顔で俺を見上げる花子に顔を近付ければ驚いた様に目を見開く。なぁ、お前の目には何が映っている?あの悲しげな瞳の奥には何が潜んでいる?
「俺の女になる気はねぇか?」
お前の瞳には俺が映っているか?
ーーーーーー
花子 side
「花子~!俺の船に乗れよ!」
「止めろ、お頭。花子が嫌がっている。なぁ花子、今夜暇か?」
「…。」
今日も今日とて飽きもせずお店に顔を出す赤髪海賊団の方々。いや、ジルさんの料理は美味しいよ!でも、それだけじゃ無くて何かに付けて私に絡んでくるシャンクスさん。そして…。
「ベックマンさん、人の腰に手を回すの止めてください。」
「固ぇ事言うなよ、デートした仲だろ?」
「いや、違いますけど!?」
あれは貴方が勝手に付いて来たんでしょうよ!腰に回りイヤらしく人の太腿を撫でる手を叩き落とすと、ベックマンさんはニヤリとした笑みを浮かべる。てか、何で貴方まで私に絡む?!
「注文が無いなら行きますよ…。」
「じゃあ、花子を頼む!」
「俺も追加だ。」
「私は商品じゃありません!」
馬鹿な事を言っている2人は放って置いて私は違うテーブルに注文を取りに行った。
「いやぁ~!モテモテだねぇ、はなちゃん!」
「…巫山戯てるだけだよ。」
「それにしても副船長さんまで誑し込むとは…やるじゃねぇか!」
まぁはなちゃん、可愛いからなっ!とお世辞を言ってくれるお客さんに苦笑いを浮かべながらベックマンさんの言葉を思い出す。
ー俺の女になる気はねぇか?ー
(まさかね…。)
只からかっているだけだと思うもちらりと仲間と談笑している彼に目を向けた。
「…。」ニヤリ
「!?」
その余裕のある笑みに思わず顔が熱くなる。
(ないないないっ!)