第2章 目が覚めると
花子 side
イケメンの話は私には理解し難い内容だった。まずこの世界はノースブルー、サウスブルー、ウエストブルー、イーストブルーの4つの海に分かれているらしい。そして、その中心をぐるっと一周する様にあるのが今私がいるグランドライン。
「…1ミリも理解出来ないんですけど。」
「俺からしたらお前の話の方が理解不能だ。」
そうそう、このイケメンの名前はとらはる…とらふぉる…。…あぁ!もう面倒臭い!トラさんで良いわ!トラさんにも私の国の話をしたけど聞いたことも無いらしい。
「トラさん、もしかして世間知らず?」
「おい、変な呼び名を付けるな。俺からしたらお前こそどんなド田舎で育ったか、只の馬鹿かのどっちかだ。」
「名前、長いのよ~…。てか、失礼よ!とらがさん!」
「…ローでいい。」
確かに田舎で生まれたけど馬鹿とは失礼なっ!なかなか名前を言えない私に呆れた顔をしたローさんから許可を貰ったので、有り難く呼ばせて貰うことにした。因みに敬語もワザとらしいから無しでいいと言われた。…つくづく、失礼ね!イケメンだけど。
「ん~…聞いたこともない未知な土地かぁ…。」
「…お前、どうするつもりだ?」
「ん?まぁ、どうにかなるでしょう。取り敢えず、人のいそうな島まで乗せていってもらえる?」
流石に今この大海原に放っぽり出されるのは避けたい。まず、私泳げないし。島に着いたら何処か働けそうな所を探して。
「…お前の怪我が完治するのは早くて4ヶ月はかかる。」
「そうなの?…だったら次の島でお医者さんも探さないとねぇ。」
「俺は医者だ。途中で患者を放り出す事はしねぇ。」
「えっ、ローさんってお医者さんなの?」
随分と人相の悪いお医者さんね、子供が見たらぎゃん泣きするわ。4ヶ月かぁ…長いなぁっ…て!
「え?」
「…少なくとも4ヶ月はこの船に乗ってもらう。その後は好きにしろ。」
勢いよくローさんの方を振り向けば、彼は被っていたモコモコの帽子の鍔で目元を隠した。
「え?何?ローさん、照れてるの?」
「…今すぐ海に投げ捨ててやろうか?」
「ごめんなさいっ!?」
拗ねたように顔を背けるローさんに思わず笑みが溢れる。
(可愛い…。)
取り敢えず4ヶ月は路頭に迷わずにすみました!良かった、良かった。