第8章 よそ見ばっかしてんじゃねェ
「それでルフィはいくつなの?」
コノハが子どもにしか見えないと散々なことを言うルフィは、目から涙を流して笑っている。
「それくれたら教えてもいいぞ!」
指差す先はコノハの手に持つ水水肉。
「だから、ダメだってば。あげたい人がいるの!」
ここまで食べ物に執着する人が他にいるだろうか。
少なくとも22年間生きていて自分以外見た事がない。
目の前でヨダレを垂らすルフィになんとなく親近感を沸かせていると、聞き覚えのある声が耳に届く。
「ちょっと、ルフィ〜!どこにいんのよ〜!」
遠くで聞こえるその声に体を跳ねさせるルフィ。
「げっ、ナミ!悪ィ、コノハ!おれ行かねェと!またな!」
頭をポンと撫でられ、その場を慌ただしく去るルフィに自然と顔が綻んだ。
突然のお別れに少し寂しくもなったが、またなというルフィの言葉に胸が熱くなる。
またどっかで会えたらいいな。
そんなことを考えていたら、右手が軽くなっている事に気付く。
「嘘…、水水肉が……っ!」
せっかくローのために買った水水肉をルフィに取られてしまったようだ。
「ルフィ…!絶対、許せない!」
なんとしてでもいつか必ずルフィに会って、仕返しをしなきゃと心に誓うコノハ。
彼女は知らない。
数年後この広い海で再び友と再開できることを。
そして、そんな2人をローが見ていたことも…。