第8章 よそ見ばっかしてんじゃねェ
「あまり大きな声では言えねェから一度しか言わねェ。」
その言葉に自然とローに近付くクルー達。
「CP9がこの島に出入りしてるって噂を聞いた事がある。まァ、エニエスロビーが近いから当然と言えば当然だ。…ベポ、この島に船を修理しに来る海賊をごく自然に、一番の特等席で見れる場所がどこか分かるか。」
ローの問いにしばらく考え込むと、閃いたのか顔を上げるベポ。
「造船工場…!」
その言葉にあぁと短く返事をすると再びローが口を開く。
「…その通りだ。あれだけデカい所なら諜報部員の1人や2人ぐらい居てもおかしくねェ。俺はあそこがどうもきな臭ェと踏んでる…。コノハは一応政府に狙われている身だ。そんな所には連れて行けねェ。」
常に一手先を読んでいるローの言葉に、その場にいた全員が生唾を飲み込んだ。
聞き慣れない単語でも、ローが話している事は大体理解した。
さっきまで、自分はなんてちっぽけなことを考えていたんだ。
こんなにもローは自分の事を思ってくれていて、その優しさに目に涙が浮かぶ。
そんなコノハを見てたローが、大きな手を小さな頭に乗せた。
「というワケだ。シャチと待っててくれるな?」
「うん…!待ってる!」
大きく頷く頭を一撫ですると、満面の笑みを浮かべるコノハ。
置いて行かれると聞いて、最初はきっと動揺しただろう。
それでも周りに迷惑をかけないよう二つ返事で了承したコノハは本当に物分かりが良く、気の使える女だ。
「そこの広場で待ってろ。そんなに時間は掛からねェはずだ。…それとシャチ、絶対コノハから目を離すんじゃねェぞ。」
鋭い目つきで睨まれたシャチが背筋を伸ばすと、ローはベポとペンギンを連れてその場を去って行った。