第8章 よそ見ばっかしてんじゃねェ
「ねぇ、腰が痛いんだけど…。」
「俺は優しくしたつもりだが。」
昨夜、宿で激しく愛し合った2人は集合場所へと来ている。
腰をさすりながら自分を睨むコノハを抱き寄せると耳元で囁く。
「次はもっと優しく抱いてやる。」
そんなことは到底無理なのに、思ってもいない事を言うローにコノハの顔が明るくなる。
「本当!?」
これだから揶揄うのをやめられない。
想定内とも言えるコノハの反応に満足したローは、口元を吊り上げた。
「キャプテン、コノハ、お待たせ〜!この2人が寝坊したせいでちょっと遅れちゃった。」
ベポの後ろを歩く2人は手に水を持ち、今にも倒れそうな表情だ。
誰もが二日酔いと分かるその匂いに顔を顰めるロー。
「ったく。」
呆れるローからするりと抜け出すと2人に近付くコノハ。
「ふふ、2人とも酷い顔。二日酔いに効く薬あるけど、飲む?」
その言葉に頭を縦に振る2人。
手渡された粉薬を流し込むと、さっきまでの吐き気が嘘のように無くなった。
「「すっげェ!!」」
「私特製だもん!」
嬉しそうに笑うコノハを見ると、ローの不機嫌な態度もどこかへ行ってしまったようだ。
「お前ェらこっちへ来い。」
コノハの手をとると、人気の無い道へ進むロー。
どこに行くのかと首を傾げているとその足が止まる。
「これからガレーラカンパニーに行くが、コノハは連れて行かねェ。お前に任せる。」
任せると言われたシャチは口をあんぐりと開く。
ベポもペンギンも驚いたようで、同じ顔をしている。
「うん、分かった!」
コノハは違うようで、ローの言葉に素直に頷いた。
悪ィと短く言うとコノハの頭を撫でるロー。
そこで納得のいかないシャチが口を開いた。
「なんでコノハを連れて行かないんスカ?」
その言葉に胸が跳ねるコノハ。
ここに着く前、ウォーターセブンに行く目的は船の修理と部屋の増築の為だと言っていたロー。
いくらみんなの仲間と言えども、仲間になったのはつい最近の話で…。
私に聞かれたくない話もあるだろう。
少し寂しいが仕方のない事だと納得しようとしていると、ローが口を開いた。