第8章 よそ見ばっかしてんじゃねェ
水門エレベーターを使い中心街へと来た5人は、腹ごしらえをしていた。
「水水肉美味しかった〜!ほっぺた落ちちゃうよ〜!」
既に5個も食べたというのに、ベポが持つ水水肉に手を伸ばすコノハ。
「あ〜!ダメだよ!これはボクのなんだから!」
手に持つ肉を高い位置に上げると、背の小さいコノハは届くはずもなく、ただそれを見上げた。
諦めてくれたかとホッとしていると、コノハの口元が吊り上がる。
「ふふっ。ベポ、それはクマのお肉らしいよ!食べたら共食いになっちゃうね〜?」
「えっ、そうなの!?」
笑いながらベポの肉を横取りしようとするコノハにローの手が伸びる。
細い腰を抱き寄せると驚いたのか目を見開くコノハ。
「それ以上はやめておけ。何が入っているか分からねェ。腹でも壊したらどうする。」
ローの言葉に目をぱちくりさせるコノハ。
(いやいやそっちかよ!)
息ぴったりに心の中で突っ込むシャチとペンギン。
「それにこんな所でクマの肉なんか売ってるワケがねェだろ、もっとよく考えろベポ。」
そう言うとローはコノハの口に付いた肉を指で拭う。
「クマの肉なんかですいません…。」
打たれ弱いベポが項垂れていると、短くため息を吐くロー。
「ったく…。今日は各自好きなようにしろ。明日の朝ここに一度集合だ。その後ガレーラカンパニーに行く。」
コノハの腰に手を回したままその場を立ち去るロー。
「「「アイアイサー!!!」」」
3人の大きな返事に、周りにいた全員が体を跳ねさせた。