第7章 この匂い嫌い?
次の島へと向かっているハートの海賊団は各自のんびりと過ごしていた。
昼食を終え、2度目の洗濯物を干し終えたコノハは膝の上でイビキをかくベポの頭を撫でる。
「モフモフ気持ちいいな〜。」
雲一つない空の下、デッキに座り本を読んでいると吸い込まれるように膝に頭を乗せ、眠りについたベポ。
片手で頭を撫でながら、再び本を読み始めると釣りをしていたはずのシャチが前に座る。
「なァ、コノハ。ちょっといいか?」
その言葉に本から目を離し、シャチを見るとどうやら浮かない様子。
「どうしたの?」
何か重大な話でもあるんじゃないかと本を床に置くと、口を開くシャチ。
「悪ィんだけど、塗り薬ねェかな?」
「ケガでもしたの?」
目の前に座るシャチを見ると、つなぎを捲った手首から血を流している。
「大変!ローに診てもらう?」
その言葉を聞いたシャチは高速で手を振る。
「いやいや!今キャプテン昼寝中だろ?起こしたら絶対ェ機嫌悪いから!」
せっかくお医者さんが船に乗っているのに、機嫌が悪いから診てもらいたくないなんて、今まで彼らはケガをした時どうしていたのだろう。
それでも、こうして自分を頼ってもらえるのはなんだか嬉しい。
「ふふっ、そっか。じゃあ今から取りに行ってくるから、戻ってくるまでしっかり傷口を圧迫しててね。」
そう言うと自分の履いているスカートの裾を千切り、それを手に渡される。
その行動に目を見開いていると、膝で眠るベポを軽くゆするコノハ。
「ベポー、ちょっと起きてもらえる?」
体を起こし目を擦るベポの頭を小さな手で撫でると、その場を立ち上がる。
(どうかキャプテンが起きませんように…!)
そんなシャチの願いとは裏腹に、船内へ向かうコノハの足取りはなんだか嬉しそうだ。
「コノハ、なんかご機嫌だね〜。」
事情を知らないベポはそれだけ言い再びデッキに寝転んだ。