第6章 女は大切にするんだぞ
「なんか言いたいことがあるなら話せ。」
ローの言葉に心臓が掴まれたような感覚がした。
「…なんかって、何?」
シラを切るコノハの肩を寄せるとため息を吐くロー。
食堂でみんなが幼馴染だと知った時、ローの過去を何も知らないことに少し寂しさを感じた自分がいた。
いや、聞いたことがないのだから知らないのも当たり前なのだが。
興味が無いと言えば嘘になる。
だけどローはそもそも自分の過去の話などしたくもないだろう。
自分がローの過去の話に踏み込んでいいはずはないと思う反面、やっぱり気になってしまうのは自分がワガママだからだろうか。
「お前は俺に隠し事をするつもりか。」
その瞬間、コノハの肩がピクリと跳ねる。
「隠し事なんかー
「…じゃあなんだ。全て思ってる事を話せ。」
別に隠し事などコノハがするはずもないのは分かっているが、ここまで言わないと頑固な彼女は口を開かないだろう。
「…その、私ローのこと何も知らないなって思って…。正直、過去の話とか気になる、んだけど…あんまり踏み込んでほしくないだろうなって。」
その言葉に目を見開くローは驚きのあまり数秒固まった。
「そんなことで昼間あんな顔してたのか?」
そんなことってどんなことだろうと考えていると、隣から聞こえる苦笑い。
「ククッ…そうだな、俺は別に人に話すほどでもねェと思うが、お前が聞きたいなら話してやる。…ただし条件付きだ。」
その言葉に顔を上げローを見るコノハ。
「条件って?」
「…昨日赤髪屋と何を話していた。その内容を教えろ。」
自分のいないところで他の男と何を話していたのか気になるロー。
意外な条件に一瞬目を丸くするコノハはコクンと頷くと、ローに頭を預けた。