第6章 女は大切にするんだぞ
「「「乾杯ー!」」」
あの後船に荷物を置き、ローの言っていた酒場で合流した5人。
「あー!体に染みるゥ〜。」
シャチがビールを流し込むとコノハが続く
ゴクッ
「ん〜、美味しすぎる〜!」
それを見ていたベポが口を開く。
「前にみんなで飲んでた時思ったけど、コノハはお酒強いんだね〜!あの時全然酔ってなかった!」
確かに強い方ではある。
本当はすぐにでも酔っ払って、ローに甘えたりしてみたい。
「可愛い顔して酒が強いとかギャップあるよな〜!でも弱い方が色々と都合良かったりして?」
人の心を見透かしたようにウィンクを飛ばしてくるペンギンに呆れた顔をしていると、自分の隣に座るローが鋭い目つきで睨み返す。
「怖いっすよ、キャプテン!」
ペンギンはいつもローを怒らせている。
そんな状況がおかしくなり、つい笑みが溢れた。
あれから運ばれてきた料理に舌鼓をし、島特産のお酒も楽しんだ。
トイレから戻ってくるとベポ達3人の姿は無く、ローの隣には自分の席に座る妖艶な女性が目に入った。
その瞬間胸がチクリと痛む
座っていても分かるスタイルの良さ。
綺麗な顔立ちに赤色のリップ。
胸元をはだけさせ、体のラインを強調させるワンピースは彼女によく似合っている。
体を寄せ付けられ煩わしそうにしているローの目を見て、ただ彼をナンパしに来ただけかとホッと胸を撫で下ろした。
席に戻ると自分を上から下まで舐め回すように見る女性。
「連れがいるとは言ってたけど、まさかこのお嬢ちゃんの事じゃないわよね?」
お嬢ちゃん。こう見えて22歳ですけど。
「ソイツが俺の女だ。そこをどけ。」
「…ふうん。胸は確かに大きいけど、顔も体もお子さまね。」
好き勝手言う女を睨むと何を思ったのか手を膝に乗せ、耳元で囁かれる
「この子に飽きたら私を抱きに来てね。」
ぽつりと呟きその女はその場を立ち去る。
その一部始終を見ていたコノハはローと目も合わせず酒場から出て行ってしまった。
「チッ…!」
グラスに残る酒を一気に煽ると、テーブルにお金を叩きつけ店を出るロー。
「クソッ…どこ行った。」
何もやましい事はない。ただのナンパ。
それなのに彼女を探す足が止められないのは、下唇を噛むコノハの傷付いた顔が頭から離れないから。