第6章 女は大切にするんだぞ
「本当に夢みたい……!」
「チッ…。危ねェから俺から離れるな。」
腰に手を回されその手の持ち主を見ると、不機嫌そうに自分を見下ろすロー。
後ろにはニヤニヤしながらこちらを見る3人。
そして目の前には活気のある店が軒を連ねている。
あれから一週間が経ち、30分ほど前に目的であるイムサ島に上陸したハートの海賊団。
「お前ェらは必要なモンを買ったら一度船に置いてこい。そしたらメシにする。そこの酒場で落ち合うぞ。」
「「「アイアイサー!!!」」」
クルーと離れた2人はコノハの衣類を買いに洋服屋に来ていた。
「服なんか着れりゃなんでもいいだろ、ったく。」
店の入口で悪態を吐くローに頬を膨らませるコノハ。
「なんでもいいって言うんなら、こういうのはどう?」
イタズラな顔をし手に持つのは、胸元が大きく開き短い丈のタイトワンピース。
「…ッ。俺以外の前で着たら許さねェぞ。」
「フフっ、分かってるよ〜、冗談だよ。」
ローの想定内の反応に笑みが溢れる。
並べられた洋服に視線を戻し物色していると、嗅ぎ慣れた消毒液の匂いが後ろを通り、ローが店の奥に行くのが分かった。
「おい、あそこに置いてある服全部でいくらだ。」
店員に放った一言に驚き急いでローの元へ駆け寄ると、そこにはたんまりとお金を手に持つローの姿。
「ちょ、ちょっと!こんなにいらないし、お金!私の買い物だよ?」
「それがなんだ。自分の女に金使って何が悪ィ。」
早く袋に詰めろと言うと固まっていた店員が急いで袋に服を詰めていく。
「じゃあお金受け取ってよ?」
「必要無ェ。男が女から金なんざ受け取れるか。」
いや、そうかもしれないけど。
その後しばらく押し問答が続き、ローの意地に折れてしまった。
荷物を置きに船に戻る最中、大量の服の入った袋を軽々と持ち横を歩くローを見上げる
「うー…、ありがとうね。」
納得していない様子でお礼を言われ、その素直さに口元を吊り上げる
「あぁ。お返しは体払いにしてもらう。」
「えっ!?」
驚き立ち止まると早く行くぞと言われ、小さく駆け寄る。
体払いって…体払いだよね?
顔を赤くしブツブツと呟くコノハの反応が可愛いくて、早く2人きりになりたいと思うローだった。