第5章 また見惚れてんのか
みんなの仲間になってから一週間が経った。
ご飯を作り家事をする。
空いた時間はデッキでお昼寝したり、本を読んだり薬の調合をしたり、ベポの抜けた毛を掃除したり…。
寝起きする部屋はもちろんローさんの部屋。
一緒のベッドで寝るのはさすがの私でも恥ずかしくて自殺行為になるので、別々に寝ている。
その日の夜じゃんけんで勝った方がソファー。負けた方がベッドで寝る。
船に乗った日の夜ベッドで寝ろという彼に、それだとローさんが体を痛めるからとベッドを譲ると言ったところ、小1時間ベッドの譲り合いが続いて、疲れた私たちは毎晩じゃんけんで寝床を決めることにした。
それ以外は至って平凡。
船に乗った日から変わったことと言えば、3人の名前を呼び捨てで呼ぶようになったこと。
毎日話をしていくうちに仲良くなり、壁があるみたいだから名前を呼び捨てにしてくれと言われ、一応年上だしと思いながらも彼らに甘えて呼び捨てで呼んでいる。
その事に対して不機嫌なローさん。
「ハァー…。」
今はその彼に悩まされながら夜ご飯を作っています。
「そんなデカいため息ついてどうしたコノハー。」
ガシャン
突然の声に驚き、持っていたトングを床に落とすコノハ。
自分1人だと思っていたのに、後ろを振り向くとそこにいるのはペンギン。
「ぅあっ、びっくりしたよペンギン!いるなら声かけてよ〜」
「声かけたわ!3回も!コノハが気付かなかっただけだろ!」
勢いよくツッコミを入れるペンギンに笑ってしまうと、不思議そうに自分を見るペンギン
「コノハって、本当に表情がコロコロ変わるよなー!で、さっきのため息はどうしたんだ?キャプテンか?」
悩みの種を当てられギクリとした私は、彼を呼び捨てで呼んでもいいのかとペンギンに相談した。
自分たちのせいで不機嫌にさせてしまったと心優しい3人なら思うだろう、その事は伏せておくことにした。