第5章 また見惚れてんのか
「そっかァ。大変だったんだな。でもオレらが付いてるから安心しろよ!もし海軍なんかが来ても守ってやる!」
「バカ!キャプテンがいるんだからオレらに出る幕はねーよ!」
「いっぱいいっぱい話してくれてありがとう。」
各々の優しさに涙を流すと3人に優しく抱き締められた。
この人たちは本当に優しい。
ついこの前まで自分たちの船長に噛み付いた私を受け入れてくれている。
ローを含めた全員に恩返しをしていこうと決心した時、音を立てて勢いよく開く扉の音に全員が体を跳ねさせる。
振り向くとそこにはさっきよりも不機嫌な顔をした船長の姿。
「…お前ら、コノハから今すぐに離れろ。さもないと腕を切り落とす。」
その低い声に3人が一斉に散らばるのを確認したローは、大股でコノハに近寄る。
明らかに不機嫌な顔で自分を見下ろすローにコノハは口を開く
「腕を切り落とすなんて物騒な事言わないでよ!みんなで仲良くしていただけなのに!」
「…仲良くだと?」
ピクリと眉を動かすローの表情に3人はただ願うしかなかった。
(頼む、頼むから余計な事は言わないでくれコノハ。
今のキャプテンの目はきっと嫉妬をしている目だ!
そして早くコノハを連れて行って下さい、キャプテン!)
「…来い。」
そんな3人の思いを知ってか知らずかコノハの腕をひくとその場を立ち去るロー。
「痛いよ!離してっ!」
力に敵わず引きずられるようにこの場を去るコノハに、ごめんと手を合わせるしかない3人。
「ひィー。キャプテンの顔見たろ?嫉妬というか独占というか、とにかく怒り狂ってた目ェしてたぞ?」
「いや、もう本当ーーーに、コノハごめん!」
「ボクたちのせいで、またコノハに迷惑かかっちゃったな〜。」
コノハに哀れむ3人は、悪いと思いつつもまた釣りを再開させるのだった。