第5章 また見惚れてんのか
「なァ…。キャプテンってオレらにバレてないと思ってんのかな?」
「どうだろうね、そういう意味ではキャプテンは鈍感だからなあ。」
「そもそもコノハをどうやって説得させて船に乗せたんだ?おっ、かかった!」
コノハがローの部屋を後にし行く場所もなくリビングのソファーに座ると、近くのデッキから聞こえてくる3人の話し声。
仲良く釣りをする3人は、どうやら自分たちの話をしているようだ。
「オレらには、料理と薬の調合とかその辺を任せる為にコノハを船に乗せるって言ってたけどなー。いや、間違ってはねェんだろうけどさ!」
「アイツ可愛いからなー。キャプテンが惚れるのも分かるわ!ほれ、魚ゲット〜!」
3人の楽しそうな声が響き渡るリビングでコノハは考えていた。
(私たちの関係って、まさかあの3人知らないの?ローさんは船員としてじゃなくて自分の女として船に乗れみたいな感じで言ってたけど、3人はそのへん知らないってこと?)
これじゃ、私の力も知らないはず。
そのことを隠して旅に出るなんて、3人に迷惑をかけることになってしまう。
私たちの事はさておき、力の事はちゃんと話さなくちゃ。
デッキに向かう扉を開けると一斉に振り向く3人。
「…っあー、えっと、釣り中にごめんね?今の全部聞いちゃって…、それで3人にお話したいことがあるの。」
待ってましたと言わんばかりに興奮する3人は、急いで釣り竿を置くと早足でコノハに近付く。
「キャプテンとの恋物語、聞かせてもらうぜ!」
親指を立て満面の笑みをするペンギンに、もう隠せないと思い言うはずのなかったローとの関係を話すコノハだった。
「…というわけです。」
鼻の下を伸ばし下品な妄想をする3人に顔を赤くしながら説明したコノハ。
こんな事言わなきゃ良かったと後悔しつつ、再び口を開く
「それでね、ここからが本題なんだけど、って聞いてるシャチさん?」
オレも恋がしてェとデッキに転がるシャチをもう一度座らせると、自分の力の話や過去の話をする。
さっきの表情とは打って変わって真剣に話しを聞く3人に、なんて言われるかとドキドキしながら話していたが、話し終わった時の3人の反応は自分の想像を大きく上回っていた。