第4章 生まれて初めて一目惚れというやつをした
翌朝、約束通りコノハを家まで迎えに来たロー。
「…俺は昨日、荷物は最低限にしろと伝えたはずだが……。」
目の前には自分の体に合っていない大きいリュックを背負うコノハ。
それに入きらない物を片腕に抱え、両手でバスケットを持つコノハを前にローは深くため息を吐いた。
「そ、そうなんだけど、薬とか必要そうな物を色々入れたらこんな大荷物になっちゃって…。」
困った顔で笑うコノハに無言で手を差し出すと、持っていた荷物を地面に置き、握手するかのように手を握ってくるコノハ。
「…どうしてそうなる。この状況で握手するヤツがいるか。」
「あっ!ごめん…なさい。これからよろしくって意味で握手するのかと思って…。」
自分の行動に呆れるように笑うコノハが、手を出された理由をようやく理解すると持っていた荷物を渡してきた。
「…本当に何を考えているのか分からねェ。」
初めて家に行った時のコノハの無防備な格好を思い出し、顔が熱くなるロー。
「…いいかコノハ。お前はこれから男しかいない船に乗るんだ。俺の前では構わねェが、他のヤツらの前でこの前みたいな格好は絶対するんじゃねェぞ。…分かったな?」
この前の格好と言われてピンと来たのか慌てて口を開くコノハ。
「あっ!そうだよね。お目汚しいもんね、気をつけます。」
自分の独占欲など全く分かっていない彼女の返答にため息を吐くロー。
持っていた荷物をその場に降ろしコノハの腰を抱くと、自分の体とくっつけ彼女を見下ろす。
「…見苦しいから見せるなって言ってんじゃねェ。お前が俺の女だから言ってんだ。」
「えっと…、それってつまり、んむっ!?」
言葉を言いかけていたのに突然ローの顔が目の前に来たと思ったら、顎に触れる髭の痛みでキスをされていることに気付いた。
「んんっ。」
唇を噛むように啄み、なかなか舌を入れてこないローにもどかしくなり口を開けると、それに気付いたのか唇を離しクスリと笑うロー。
「…フッ、お前本当に昨日のが初めてか?その割には随分と積極的だな。」
「〜〜〜っ!」
「…早く行くぞ。」
胸の鼓動が早まる2人は、それを隠すように無言で船に向かって行った。