第4章 生まれて初めて一目惚れというやつをした
「はいはい、それじゃあ行ってきなさいコノハ。自分の夢をしっかり叶えておいで。」
自分の親とも呼べるひげじいの言葉に涙を流し熱く抱擁を交わす。
ありがとうと何度も言っていると、耳元で船に乗ったら見なさいと言い、私のワンピースのポケットにカサリと何かを入れたひげじい。
「おいお前ら、出航だ。」
「「「アイアイサー!!!」」」
何かは分からないそれに首を傾けていると、後ろから聞こえるローの声にひげじいと体を離す。
「っ…、それじゃあ、行ってきますっ!」
「ホホホ、みんなを困らせることのないように。」
濡れた顔を拭い、ローの手に捕まって船に足を踏み入れる。
22年間暮らしてきた島。
楽しい思い出も悲しい思い出もたくさんある。
大きく手を振ると、深々と頭を下げカサカサな声で叫ぶひげじい。
「はいはい、船長さん!娘を、どうか!頼みます!」
その言葉に目頭が熱くなり、段々小さくなっていくひげじいにまた大きく手を振る。
また、いつか会う時まで。
ありがとうホッ島のみんな。
ありがとうひげじい。
そしてありがとう、お父さんお母さん。