第1章 てめェ何しやがる
「キャプテン、もうすぐだよ!」
「…そうか。お前ら、島に着いたらとりあえずさっきのムカつく野郎を探せ。宝をぶん取るぞ。」
「「「アイアイサーー!!!」」」
ベポの腹にもたれかかりながら読書をしていると、近付いてくる一隻の船。
近付いてきた船が海賊船だと分かると、誰も気付かないことを不思議に思い、平和ボケをしているクルー達に舌打ちをしながら辺りを見回す。
するとデッキでは優雅に昼寝をしているシャチとペンギン。
ベポを含めた3人に蹴りをお見舞いし叩き起こすと、近付いてきた船の船長であろう男が耳障りな声で言ってきた。
「宝はあるか?宝は。持っていないならいい。持っているなら俺たちに今すぐ渡せ。」
その横柄な態度にこめかみに青筋を立てたローは、サークルを張ろうと指を動かす。
「…能力者か。面倒な事は避けたい。宝は次の島で奪うとしよう。」
危険を察知したその男はそう言い残し去っていった。
「…あのムカつく野郎を追うぞ。」
神経を逆撫でされたローの一言によって、ハートの海賊団はその男を追うことにした。
名もない海賊を追うなど普段ならとらない行動。
何故この時こんな行動を起こしたのか、ローには知る由もない。
あの話し方からすると、宝は少なからず持っている。
そして次の島で奪うという事は横取りができる。
宝も手に入れ、ムカつく奴をぶっ飛ばせるなんて一石二鳥だと思いながら不敵な笑みを浮かべると、その場にいたクルーの背筋がピンと伸びた。