第4章 生まれて初めて一目惚れというやつをした
自分で切り出した筈なのになかなか口を開こうとしないローを見上げ、不思議そうに首を傾げるコノハ
「…まずは、俺にお前の力を使った理由を聞きたい。」
目を覚ましコノハの言葉を聞いた時一番に思い浮かんだこと。
あの時は聞けなかったが、朝船に戻ったあと自室で理由を考えていたロー。
助けたという事実は納得できるが、22年間生きていて一度も人に自分の力を使ったことないのは、その力を愛する人に使いたいからと言っていたコノハの言葉が頭を巡り、何度考えても同じ理由にありつく。
俯き押し黙るコノハに痺れを切らし、続けて口を開いた
「…お前は、愛する人に自分の力を使いと言っていたな。…その力を今まで使ったことがないのに、何故出会って間もない俺に使ったと聞いている。」
肩をピクリと振るわせたコノハは、俯いたまま小さな声で話す。
「…ローさんが目の前であんな事になってしまって、咄嗟に力を使ったのは、多分…、ローさんの事が好きだから…っ、だと思う…。」
答えになってない答えに眉間に皺を寄せるローは、突然のコノハからの告白に顔を赤く染めると、それを隠すように深く帽子を被り直す。
「…思うってのはどういう意味だ。」
「…っその、私…、人を好きになった事がないから、確信はない…の。だから、好きとか愛しているって感情がよく分からなくて…。」
視線だけ横に向けると耳まで赤くなっているコノハ。
今までの無防備な姿や距離感の分かっていない行動は、男を知らないが故だと納得した。
「…いつからだ。」
「いつからなんて分からないよ。ただ、力を使う時に、もしかしたらって思ったの。でもっ…、あまり本気にしないで欲しい…。ローさんの迷惑になってしまうし…。」
自分の気持ちが迷惑だと思っているコノハに、今までの胸のざわつきの理由がようやく分かった。