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魔法の手【ONE PIECE】

第15章 どなたでしょうか



おにぎりを早々に作ったコノハは、ちゃんとクルー達の目論み通り船長室まで来た。


『いつか見せてもらえよ!』

そのいつかが数時間後になるなんて誰が想像していただろうか。
今朝のペンギンの言葉を思い出し、静かな廊下で1人苦笑いを浮かべる。


「ふぅ…」

なぜか緊張している自分を落ち着けるように深呼吸し、片手で拳を作る。


コンコン


「あぁ。」

「失礼します…」

その言葉を合図にコノハは扉を開けた。


「っ…?!」

しかし開けるな否や小さな体が固まる。

「…!何故お前がここに……」

目を丸くしたローと一瞬視線がぶつかるも、その視線は自然と下に下がっていく。


そして一瞬にして目を奪われることになる。


厚い胸板。綺麗に割られた腹筋。その上に彫られたタトゥー。
さらに濡れた髪が引き出す色気は息をするのも忘れるほど。

情報量の多さに心拍数は一気に跳ね上がり、次第に大量の唾液が口内を占領していく。


「おい…?何か用があってきたんじゃねェのか?」

その声にハッとしたコノハが反射的に喉を鳴らす。

「あっ……その、えっと…おにぎりを作って来ました…!」

「おにぎり…?」

ローは一瞬眉を顰めたが、コノハが持つそれを見て言葉の意味を理解した。


「少し待ってろ」

そう付け加え首に掛かるタオルで体を無造作に拭き、ベッドに置かれたシャツを羽織る。

なんてことない動作でさえ色っぽく見えるのは、父親以外の異性の体を見たことがないから…?
少し首を傾げながらもコノハはまたもローを目で追いかける。


「…見惚れすぎだ。」

射るような目にコノハは耳まで赤くする。

「いやっ…、み、見惚れてなんかないです!」

頭を横に振り、そんな事はないと少し強めに声を張り上げる。
実は言うと見惚れていたなんて口が裂けても言えない…

「ほぅ…そうか。」

しかしどうやらローには筒抜けの様子。

クツクツと喉を鳴らすローにコノハは口を尖らせた。

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