第3章 船長命令だ
勢いよく扉をノックし返答も待たずに扉を開けると、そこには自分の怒りの矛先である相手が、シャワーを浴びた後なのか上半身裸で濡れた髪を拭いている。
あまりに色気のある姿に思わず目が離せないでいると、フッと聞こえる笑い声
「なっ!?」
我に返って状況を理解したのか両手で顔を隠すコノハ。
みんなの前で散々子ども扱いされ、挙句の果てには自分が22歳だとまだ信じていないかのようなことを涼しい顔で言い残して、自室に戻っていったロー。
昨日は同い年だと言ってくれたのにその変わりように怒りを感じつつも放心状態でいると、ベポが抱き締めてくれた。
フワフワとした抱き心地に一瞬優しい気持ちになったが、やっぱり許せないと思い、近くにいたシャチにローの部屋の場所を聞き、なんとか迷いながらも部屋に着いた。
「…何を見惚れている。用はなんだ。」
クククと口角を上げるローにコノハは噛み付くように答える
「み、見惚れてなんか、な、ない!っ、よ、用は、そう!ガキ扱いして、しかもまだ22歳って信じてなかったから、ちょっとムカついて…文句を言いに来ただけ、です……。」
言い終わると同時に近付いて来るローに声が段々と小さくなる。
父親以外の男の体など見た事のないコノハは目のやり場に困っているようで、目線が右へ左へと流れる
「…フっ。お前はやっぱりガキだな。その反応を見ると、キスすらしたことねェようだ。」
自分の反応を楽しむかのように揶揄うローを睨み上げると、恥ずかしさで目に涙が溜まり、それを悟られないよう勢いよく踵を返し扉に手をかける。
「キスくらい…、経験ある!(お父さんとだけど…)」
意外な返答を耳にしたローは目を丸くし、去っていく背中に苛ついた口調で言葉を投げる
「…ほぉ、そうか、それはそれは。…今度から人の部屋をノックしたら、返事を待ってから入ることだな。」
バタンと勢いよく閉まる扉を見てローは、持っていたタオルを乱暴にソファーに投げると、倒れるようにベッドに寝転んだ。