第3章 船長命令だ
おにぎりの争奪戦が終わり、たくさん作って来て良かったと心底思うコノハ。
軽い自己紹介を済ませ、ようやくシャチとペンギンの名前が分かったところで矢継ぎ早に質問をされる
「そんでそんで!キャプテンとはどこまでいったの?朝帰りしたって事は、やっぱりムフフな関係?」
下品ともいえるペンギンの問いに、全く意味を理解していないコノハは、ベポのお腹にもたれかかり本を読んでいるローに、どういう意味だと視線を送る。
コノハの視線を感じたローは、立ち上がりペンギンを見下ろす
「……おい。てめェらは浴びるように酒を飲んで、好き勝手騒いでたから分からないかもしれねェが、俺はコイツの家には泊まってねェ。それにこんなガキに誰が欲情するってんだ。」
浴びるように酒を飲み、好き勝手騒いでた事を見透かされ体が強張るペンギン
「ちょっと、ローさん!私はガキじゃない!同い年なのにガキって言うってことは、自分もガキだって言ってるようなもんでしょ!」
顔を赤くして声を荒げたコノハに、驚きを隠せない3人は今度こそ目が飛び出る
「「「ええええええええええーーー!?」」」
床に転がっていたベポも聞いていたのか驚いたようで、3人の叫び声が島全体に木霊する
(((見えなすぎる!)))
幼い外見だと自分でも分かっているのか、ガキだと言われたことに怒っているコノハに配慮し、言葉こそ口から出なかったものの思う事は全員同じだった
脳天を指すような叫び声に頭が痛くなるような感覚を覚えたローは、こめかみを揉むとベポに顔を向ける
「…ベポ。ログはどれくらいで溜まる。」
「えーっと、あと2日もあれば溜まるよ。」
「…そうか。なら出航は2日後だ。」
突然耳にした出航という言葉。
海賊だから当たり前の言葉だが、2日後にこの島を出ていく彼らの姿を想像すると寂しくなった。
「お別れか〜。寂しいねー。」
ついさっきまで怒っていたその声の主は、口は笑っているものの悲しそうな目をしている
その表情に胸が締め付けられ、気付けば口を開いていた
「…そういや俺は、この島に来てまだ酒を飲んでねェ。今日の夜酒場に行くぞ。」
会話に置いていかれてるコノハに視線を落とす
「…コノハ。お前もだ。ガキとは言え本当に22歳なら酒ぐらい飲めるだろ?」