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魔法の手【ONE PIECE】

第15章 どなたでしょうか



「ったく、油断も隙もねェ。」

コノハは恐る恐る目を開けた。

「えっ……?」

あれ、海の中じゃない?
しかもなんか背が高くなっている?

それにこの声は…

「キャ、キャプテン…。」

振り向くと、そこにいたのは向こうで昼寝をしていた筈のキャプテンだった。

昼寝を邪魔されたことに怒っているのか、その目は少し不機嫌そう。

「あ、ありがとうございます!」

しかし命を救ってくれたお礼にと、コノハはひょいっとジャンプし頭を下げる。

「お前…一応1週間寝たきりだったんだぞ……ちゃんと休んどけ。」

手持ち無沙汰になったローは腕を組んだ。

「あぁ、はい…そうですね…。でも!これ見てください!」

「あぁ…?」

コノハが高らかにそれを見せる。

「ほら、おっきい!キャプテンのお陰で大物ゲットです!」

彼女の顔よりも一回り、いや二回りも大きい鯛。

ピチピチと勢いよく動き、水滴をコノハの顔へと飛ばす。

「あ、あぁ……」

が、ローが見つめる先は鯛ではなくー

「わっ!すごい跳ねる!!」

子どものように笑う最愛の人。

「……ッ。」

あぁ、なんて破壊力のある笑顔。

ウルサイほど心臓が鳴っている。

「あれ、キャプテン魚嫌いですか?」

いきなり顔を覗きこまれ、ローは勢いよく顔を背けた。

「き、嫌いじゃねェ…どちらかと言えば好きだ。」

「じゃあ夜みんなで食べましょう!」

わーいと喜びコノハは大きいバケツがある方へと向かった。

「チッ…」

なんてヤツ。
自分が女だったら間違いなくこの場にへたりこんでいた。

いや、しかし

「テメェはそんな所で何してやがる…!」

少し離れた所で怯えるように蹲るシャチ。

それはそれは、ローは怒った。

「テメェ、遠くで見てりゃ調子に乗りやがって。アイツが海にでも落ちたらどうすんだ!?」

「ヒィ……っ!」

徐々に詰め寄られ、シャチの顔からは血の気が引いていく。

「一足遅かったらお前ェ……」

コノハに触れていたのは大目に見てやる。

そう目で語るローに纏われた禍々しいオーラ。


一か八か。
額に脂汗をかくシャチが生唾を飲み込んだ。



「ふ、2人で釣れて…めで鯛!なんちゃって!」





「ぎゃー!痛ェーーっ!」

この日1番の悲鳴が船内に響いた。

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