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魔法の手【ONE PIECE】

第15章 どなたでしょうか



昨日のキャプテンも、さっきのペンギンも、そしてシャチも…
3人は口を揃えて言った。

『謝るな』と。

きっとそれは彼らなりの優しさなのだろう。

それでも…一回くらいはちゃんと謝らせて欲しい。

「でも2人には負担をかけちゃったから…2人だけじゃなくてみんなにもだけど……ごめんね。」

しつこいと言わんばかりのため息。
怒らせてしまったかとコノハは肩を窄ませた。

「なァ、それ以上謝るなら釣りは中止だぞ?」

予想は大きく外れた。
悪戯に笑うシャチにコノハの顔がみるみる赤くなっていく。

「な……!ずるい…!」

いくらなんでも卑怯すぎる!

そんな事言われてしまったら謝れるワケがない。

「も〜ずるいよ〜」

「ハハ、頑固なコノハはこうでもしないと諦めないからな!」

「も〜」

図星すぎて何も言えないコノハは頬を膨らませた。

「おお!フグが釣れた!」

「え!?どこ!どこ!?」

「ここでした〜!」

右へ左へと両方に伸びる頬。

本当にフグが釣れたのかと思った…
周りにいるクルー達もそう思ったのか、大勢の視線が突き刺さる。

「ギャッハハハハハハ!!!」

涙を流しながら笑うシャチ。

心なしかクルー達も笑ってるような気がする…

「はなひてー」

私は今一体どんな顔をしているの?
恥ずかしくて死にそう…

「は〜おっかしぃ。」

シャチはひとしきり笑ったあと、ようやく手を離した。

頬がジンジンする。

「絶対赤くなってるー…」

「ハハ、悪ィ悪ィ。…いやー、なんか懐かしいなァー」

目に溜まった涙を指で払いながらシャチが言った。

「懐かしい?何が?」

「お前の記憶があった頃を思い出したんだよ。よく一緒に釣りしたり、酒場で潰されたりよ…そういや怪我を治してもらったこともあったなァ。」

「怪我?」

「おぅ。釣りをしてた時手首切っちゃってよ。その時治してもらったんだ。あぁ、ペンギンは何だったかなー、確か頭に出来たタンコブ治してもらってたぞ、お前の力で。」

力……?

「えっ…?」

一体どういうこと……?

一瞬にしてコノハの顔が曇っていく。


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