第15章 どなたでしょうか
「……!ここが…私の…」
「あぁ、ここがコノハの部屋だ。」
「なんか…」
言葉を詰まらせるコノハにペンギンは首を傾げる。
「ん?どうした?」
しばらく使っていなかったからか多少埃は被っているものの、白と茶色で統一された家具たちは自分が住んでいた家を思い出させる。
「なんか……懐かしい気分……」
部屋に踏み入れたコノハは辺りをぐるりと見渡した。
秤や薬さじ、軟膏ベラ…
ケースに並ぶそれらは、どれも薬を調合する時に欠かせないものばかり。
「私…」
ちゃんとこの船で生活していたんだ。
過去の自分は、忙しくも楽しい毎日を送っていたのだろう。
そんな自分が少しだけ羨ましくなったりもする。
「コノハが作る二日酔いの薬はそりゃもう逸品よ。」
ドアに背を預けこちらにVサインを作るペンギン。
何かを察したかのような眩しい笑顔に、こちらも眉尻を下げずにはいられなかった。
「記憶が無いから仕方ないんだけどよ、お前は本当に俺らの仲間なんだぞ?」
ホラとペンギンが指を差す。
「……!これって…」
壁に掛けられた白い布。
布の中心部へ指を滑らせると、ある模様へと辿り着いた。
「…海賊旗と同じ……」
それはまるでドクロが笑っているかのように。
白いツナギの背中部分に大きく描かれている。
今の私にはどんな言葉よりも、コレがみんなの仲間だと信じられる物なのかもしれない。
「それさ、俺とベポとシャチからのクリスマスプレゼントなんだぜ?」
ペンギンはまたもVサインを作っている。
そして、この帽子はお前からのプレゼントだと被っている帽子を指差した。
「私…っ、私……」
生涯孤独だと思っていた。
もうずっとホッ島で生きていくのだと。
「わっ、わっ、泣くなよ!俺が怒られる!」
でもちゃんと仲間と一緒に生きていた。
「あー、ほらほら、涙拭いてやるから顔上げろって!」
自分の知らない世界で。
優しく、頼もしい仲間と。