第3章 船長命令だ
顔をようやく上げたコノハが思い出したかのように口を開く
「そういえば、みなさんにおにぎりを作ってきたんです!
たくさん作ったので、良かったら一緒に食べません?
あと、ローさんに聞いたんですけど、お礼なんて大丈夫ですからね。」
「「「おにぎり!?!?!?」」」
今にも目が飛び出しそうな3人だが、ペンギンがある事に気付く
「いやっ、ちょっと待って?おにぎりは嬉しいけど、お礼ってなんのことだ?」
コノハの言葉とペンギンの疑問に苦虫を噛み潰したような顔をするロー。
これ以上話が広がらないように話題をすり替えようとするローをよそに、会話が進んでいく
「???…えーと、ローさんがさっき言ってたんです。みなさんが私にお礼を言いたいみたいだって…」
みんながお礼を言いたいと聞かされてたコノハ。
お礼と言われてもピンと来ない3人。
どういう意味なのかと頭を傾げる4人に、この現状を作り出してしまった事の発端である人物は、今度こそ話題をすり替えようと口を開く
「………おい。俺はいつまでこのカゴを持ってりゃいいんだ。」
一同一斉に声の主の方を見ると、そこには木で編まれリボンがついたバスケットを手に持つロー。可愛いらしいバスケットとは対照的な顔で不機嫌そうな顔をしている
(キャプテン、似合わないっス!…じゃなくて、考えてみると女の子は嘘ついているようには見えないし、かと言って俺たちは女の子に礼をしたいなんてキャプテンには伝えてない…。そもそも昨日の夜からキャプテンには会ってないし。
ん……?ア〜、そう言うことか!だから不機嫌なんだな。)
シャチが答えに辿り着くと、ベポとペンギンも察したようで3人揃ってうんうんと頭を頷く
「(何がうんうんなのか分からないけど…)ローさん、持ってくれててありがとう。私が持つね。」
はいと手を伸ばすコノハに、必要ねェと呟きバスケットを手にしたまま船に乗り込むロー。
ローの行動の意味が分からず、またも首を傾げるコノハに、船に行こうと手を引くベポ
「そういう事かァー。キャプテンも隅に置けねェな〜。キャプテン相手じゃ勝ち目無ェな〜。」
「キャプテンが…ね〜。でも女の子はどうなんだろう?…って、お前も狙ってたのかよ。2人して完敗だな。」
勝ち目のない相手に肩を落とす2人だった。