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魔法の手【ONE PIECE】

第15章 どなたでしょうか



「キャプテン!!!」

自身の名と共に開けられた扉。

「………」

それはそれはうるさくて、最悪な目覚めに眉間に皺が寄る。

「るせェ…」

もう少しだけ寝かせてくれ。
それにノックぐらいしてほしいもんだとローが素早く寝返りを打つ。

「な、何してんすか!!コノハが…コノハが起きました!!」

「ッ、なに……!!」

その言葉はローの眠気を覚ますのに十分だった。

勢いよく飛び上がる体。
ソファーに掛けられた服を適当に選び袖を通す。

「お前、そういうことはもっと早く言え!」

「キャプテンが寝てたんでしょーが!」

扉の近くに立つペンギンには目もくれず、ローは走って行った。




ようやく…声が聞ける、笑った顔が見れる。
そう考えただけで沸々と熱い何かが体を巡る。

「…コノハ……!」

そしてローの目に生気が戻っていく。







「コノハ……っ!!」

息も絶え絶えにローは部屋に飛び込んだ。

待ち望んだ愛しい人の目覚め。
込み上げる何かがローの歩みを進める。

「コノハ…すまなかった、守ってやれなくて。本当に悪いことをした…」

柄にもなく震える体。
それを隠そうとその小さい体をぎゅっと包む。

温かい…
ちゃんと生きている…

感動にも似た感情がローへ押し寄せる。

「く、苦しい」

「わ、悪ィ…!」

いつの間にか力が入ってしまっていた。
危うく潰すところだった。

コノハの体を解放し、ローが顔を覗きこむ。

「気分はどうだ?腹は減ったか?しばらく固形のものは食べさせてやれねェが、スープくらいなら大丈夫だろう。」

「もう…っ、心配だったんだから…!!」

「良かった…!良かった…!」

「本当に良かったよ…!!!」

矢継ぎ早な言葉にコノハの目が丸くなる。

「あの…、水を…」

掠れ気味な声にローの体がとっさに動いた。

ベッドの脇に置かれたコップを口元に持っていけば、コノハがゴクゴクと喉を鳴らし水を流していく。

久しぶりの水分に喉が驚いたのかケホっと小さく咳をして、大きな瞳がベッドを囲うクルー達を見渡す。

「えっと…その……」

目が覚めた時に感じた違和感。






「みなさん、その…どなたでしょうか…?」

ローの、クルーの心臓が震えた。


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