第3章 船長命令だ
「キャプテンどこ行ったんだろうねー。」
昨日はローの指示通り村の人たちに宝を返し、後から来たベポと村の酒場で騒いでいた3人。
村の人たちはまさか目の前にいる3人が自分達の物を横取りしたなんて思っているはずもなく、逆に取り返してくれた大恩人だと感謝され歓迎された。
あれよあれよと酒や食べ物が目の前に並べられて、遠慮なく飲みまくって食べまくって騒ぎまくっていた。
気付いたら朝で、ローに言われていた事を思い出し、バラされる覚悟で急いで船に向かったが、どこを探してもローの姿がない。
(もしやあのまま、あの女の子の家に泊まってその後はまさか…?!)
よからぬ妄想していたペンギンだったが、ベポの声に現実に引き戻される。
「あっ、キャプテーン!どこ行ってたの〜。ボクたちさっき帰ってきたよ。」
なんだ何も無かったのかと落胆しようとした時、ローの隣にいる人物に開いた口が塞がらない。
ローの隣に立つのは昨日ベポが運んだ女の子。
今は家に2人きりだと合流したベポに聞かされて、ウハウハしていた。
そして自分達が船に戻ってきたのはさっき。
(…まさか朝帰り!?そもそもキャプテンが女の子を船に連れてくるってどんな状況!?!?)
ローが昨夜船に戻って来たことを知らないペンギンの頭の中では妄想が膨らみ続ける。
「キャプテン、お宝返してきたっス!村の人たちは自分達がお宝を取り返してくれたと思っているみたいで、そりゃアもう熱烈な歓迎でしたよー!…ってアレ?隣にいる子は、昨日の女の子スか?」
どうせよく分からない妄想をしているであろうペンギンを一度だけ見ると、短いため息を吐きながらローがシャチに答える。
「…あぁ。お前らに用があるんだと。それでここまで連れてきた。」
ローの視線を感じ、慌てて頭を下げるコノハ。
「あのっ…!みなさん!昨日はみなさんのキャプテン?船長さん?えっと、ローさんに噛み付いてしまって本当にごめんなさい。
それと、ベポくん昨日はお家まで運んでくれてありがとう。
お二人も村の人たちに大切なものを返していただいたみたいで、本当にありがとうございます……。」
再度深々と頭を下げ、なかなか顔を上げないコノハに、もう顔を上げてと叫びながら3人が勢いよく船から降り、コノハの元へ駆け寄って行った。