• テキストサイズ

魔法の手【ONE PIECE】

第14章 あの人だけのものだから


ローは目当ての物を見つけ、ソレを手のひらに乗せた。

「プルルルルル…」

静かな部屋に響く呼び出し音。
私たちはカタツムリのようなソレを、電伝虫と呼んでいる。

「アイアイ、キャプテン!どうしたの?」

この声は…ベポ?

「あぁ、聞きたいことがあってな。にしても周りがうるせェな。」

周りにいるクルー達の騒がしい声に、ローの眉間に皺が寄る。

聞きたいこと…。
今後の航路のことだろうか。

「ちょっと待ってね、少し離れるから。」

徐々に遠くなっていく騒がしい声。

ローの眉間に刻まれた皺も次第に薄れていく。

「それでキャプテン、聞きたいことって?」

「あぁ。花火についてだが…」

え、花火…?

「俺らがここにいる間、もう花火は上がらねェのか。」

ふと横目でこちらを見るローと視線がぶつかる。

もしかして私の為にベポに電話を?

「次に上がるのはちょうどボク達が出航する前の日みたい!夜だけどね!」

あぁ、残念。

少しばかり期待してしまったけど、こればかりは仕方ない。

出航の前の日は用意やらでなにかと忙しい。
花火が見れるのはまたの機会になりそうだ。

「…そうか、分かった。要件はそれだけだ。面倒事は起こすなよ。」

ローはしっかり忠告をして、そのままベポとの電話を終わらせた。

夜空に咲く大輪は、きっととても綺麗なのだろう。
その言葉だけで頭の中ではありとあらゆる想像が膨らんでいく。

でも、そう…分かっている。

昂る気持ちを押し殺すために体をくるむシーツをキュッと握りしめる。

一歩一歩とこちらに近付く足音。

その足音がぴたりと止んだかと思えば、布団の中に心地良いぬくもりが戻ってきた。

「今の聞いてただろ。出航の前の日だと。」

「うん。」

いつか、一緒に見れたらいいな…

「見に行くぞ。」

「へっ?」

ローの言葉はあまりにも予想外で。
マヌケな声を発するには十分すぎた。

「見ねェのか?」

「み、見たい……!!」

私は今、目を輝かせているに違いない。

「ロー、ありがとう!」

「フッ…あぁ。」

だってローの顔があまりにも穏やかだから。
/ 225ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp