第14章 あの人だけのものだから
容赦なく腰を打ち付けられ、近付いてきた感覚にコノハが身を捩らせる。
「ま、た…ッ、イッちゃう…!」
もう何度目か分からない。
押し寄せる波に飲まれないよう洗面台の縁をギュッと掴むと、長い指が敏感な突起に触れた。
「あぁッ…、イケよ。」
ざらりとした低い声が脳内を支配し、抗いようのない波が襲う。
「ふッ、ぅあ…ッ!!」
目の前に火花が散り、ピクピクと痙攣するお腹の奥。
必死に酸素を取り込もうと肩で息をしていると、圧迫していたモノがズルリと引き抜かれ体の力が一気に抜けていく。
「悪ィがまだ終わりじゃねェ。」
余韻に浸る暇など与えられていないみたいで。
顔を上げれば悪魔のような笑みを浮かべるローと目が合う。
「もう無理だよ…」
これ以上は壊れちゃう。
力なく首を振ると、体がふわりと浮いた。
「ねぇ、ロー。」
返事は無い。
ただ、抱えられては捕まる場所も無いのでなんとか首に手を回す。
そしてローは私を抱えたまま、広いリビングの大きいソファーに腰を下ろした。
瞬く間に上に跨らせられ、互いに向かい合う。
「ね、本当に無理だから…」
「聞こえねェな。」
やっと口を開いたかと思えば、その口は弧を描いていた。
食べられる。
抱かれるというよりもこの表現の方がしっくり来るのは、ローの目が捕食者のような目をしているから。
獣を宿しているかのような瞳に見つめられ、迫り上がってきた生唾をゴクンと飲み込んだ。
「捕まっておけ。」
「ん、はっぁ…ッ!!」
奥まで一気に突き上げられ、仰け反る体。
「ハッ、そんな締め付けるな。」
どこか楽しそうなローは、腰を掴み直し私の体を揺さぶっていく。
熱く沸るソレに中をかき混ぜられ、やっとの思いでしがみつく。
「んん゛ッ…!か、まないで…ッ!」
覚えのある痛みが胸に走り、首に回した手に自然と力が入る。
「ッ、好きな癖によく言う。」
「ぁ…ッ、ん…!」
なぜかローは噛むのが好きだ。
否定ができない私も大概だけれど。
「噛むとよく締まる。それが何よりの証拠だろ…ッ。」
一体誰のせいでそんな性癖になってしまったのだろう。
原因は分かっているけれど、この快感にしがみつくのに精一杯で私の頭は考えることをやめた。