第14章 あの人だけのものだから
ローの大きな手が薄い腹を這う。
「ふふっ、くすぐったい。」
それとなく手を滑らせると、何も知らないコノハは身を捩らせる。
「上も塗るが…コレをずらせ。」
「えっ……!ここは塗らなくても…!」
水着が邪魔だと言うローにコノハが首を振る。
だって、これをずらしたら胸が出てしまうもの。
胸のすぐ下まで来ている手を離そうと試みるが、ビクリともしない。
「また日焼けをして痛い思いするのは誰だ?…それにチンタラしてると花火が見れなくなるぞ。」
そうだ、花火…
ローの言葉にハッとしたコノハは勢いのままに水着をずらした。
「ッ…、早く、塗って…。」
消え入りそうな声と共に露わになったのは、日焼けで更に白さが強調された形の良い胸。
日焼け止めなどとうに塗り終わっているというのに、素直なコノハは疑おうともしない。
顔を赤く染めながら自分に従う姿にローの背中がゾクリと震えた。
「…塗るぞ。」
水着に押し上げられ窮屈そうな胸をローが後ろから包む。
「んっ…」
日焼け止めを塗られているというのに、まるで別の行為をしているみたいで思わず声が漏れた。
「どうした。」
「な、にも…」
どこか楽しげなローと鏡越しに目が合い言葉が詰まる。
「フッ、そうか。」
そのままローは胸の上に手を滑らせていく。
頂には触れず、ただ乳房を行き来するだけ。
「ふ…ぅっ…」
そのもどかしさにコノハの口からは息が漏れる。
「ククッ…随分と苦しそうだな。」
「そんなこと……ぁんっ!」
突如胸の頂を摘まれ体が仰け反った。
「ロー、なにしてー
「ハッ、朝っぱらからそんな格好しているお前が悪ィんだ。」
あぁそうだ、お前が悪いとローは首筋に顔を埋める。
「っ…ロー…」
熱っぽい吐息がぶつかり下半身がギュウっと疼く。
少し前までこんな経験無かったのに、ローという男を覚えてしまったこの体はその先を求め続ける。
頸に走るチクリとした痛みに顔を歪ませていると、長い指が顎を捕えた。
「そういう顔は反則だと何度も言ってきたが…」
潤んだ瞳で見上げられ、何かが音を立てて崩れていく。
「まぁ、いい。文句なら後でいくらでも聞いてやる。」
今はお前をメチャクチャにしてやりたい。
ローは薄く笑いながら、赤い唇にキスを落とした。