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魔法の手【ONE PIECE】

第14章 あの人だけのものだから


しばらくベッドの上で甘い時間を過ごした2人は洗面所に来た。

「ったく、この島にいる間は毎日塗れ。」

「はぁい。」

怪訝な顔つきのローは悶々とした気持ちを殺しながら、小さな背中に日焼け止めを塗っている。

(どうしていつもこうなる…。)

ローは自分を独占したいと言うコノハが無性に愛しくなった。

欲のままに彼女を抱こうと押し倒すと、真っ直ぐな瞳でこう言われたのだ。

「背中に日焼け止めを塗ってくれる?」

タイミングが良いのか悪いのかコノハはいつもこうだ。

だが愛する彼女の頼み。

断れるワケがない。

「花火楽しみだね〜!」

そんなローの心情に気付きもしないコノハは鏡越しに笑いかける。

「本当にこんなクソ暑い中見に行くのか?部屋から見ればいいだろ。」

ベポいわく、なにやら今日は港の近くで花火が上がるらしい。

よりによって時間は昼間。

暑さが落ち着く夜ならどれほど良かったか。

「せっかくなら近くで見たいの。…ダメ?」

「ハァ、仕方ねェな。」

そんな瞳で見られては、断るもんも断れない。

「わーい!やった!!」

コノハは日頃から些細なことで喜ぶ。

この顔が見れるなら、いくらでも望みは叶えてやりたい。

コノハに釣られて頬を緩めるローは、優しい眼差しで鏡に映る彼女を見つめた。

それにしても…

「ひゃ…っ!?」

この格好は刺激が強い。

背中から腹に手を滑らせると小さな体が跳ねた。

コノハの動きに合わせて揺れるその胸は、今にも水着から溢れてきそうで…

「ロ、ロー…もう前は塗ったから大丈夫だよ?」

そう言ってコノハはこちらを見上げる。

「あぁ、だがまだ手に余ってる。勿体無ェだろ。」

「あっ、そうだね。」

てっきり、ローがよからぬ事を考えているのかと思った。

恥ずかしくなったコノハは俯く。

そんなコノハを横目に、ローは口元を吊り上げる。

朝っぱらからそんな格好をしているとはいい度胸だ。

クツクツと喉を鳴らす獣は、その鋭い瞳に獲物を捉える。
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