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魔法の手【ONE PIECE】

第14章 あの人だけのものだから



次の日の朝。

ローと出かけるため、コノハは洗面所で身支度をしていた。

「うぅ、いてて…」

日差しの洗礼をとことん受けた肌が水着の紐に擦れてヒリヒリと痛む。

普段からあまり日焼け止めを使わないのもあって、昨日もつい塗り忘れてしまった。

もうこの痛みは2度と経験したくない。

二の舞にならないよう、慣れない手つきで日焼け止めを腕や胸に塗っていく。


よし、あとは背中だけ。

「あっ…」

しまった、手が届かない。

頑張って腕を伸ばしても、指の先が肩の裏をちょんちょんと触れるだけ。

「…あとでローに頼もう。」

そういえば背中に日焼け止めなんて今まで塗った事があっただろうか。

おぼろげな記憶を辿りながらコノハは洗面所を後にした。


ローが取ったこの宿は島で一番の人気らしい。

そして自分達が泊まっているこの部屋は、この宿一番人気の部屋。

ローは人気だとかに拘りは持たないのに、どうしてか島に上陸する時は人気の宿を取ったりする。

なんだかんだローもこういう所が気になるのだろうか。

そんな事を考えながらバルコニーに出ると、潮の匂いを乗せた風が頬を撫でた。

「うーん、気持ちいい。」

この島は湿気が無いからか、これだけ暑いというのに過ごしやすい。

ローとベポはそんな風に思っていないみたいだけれど…

「ふふっ」

つい昨日、この島の気候に舌打ちをするローの姿が脳裏に浮かんだ。

顔や声を思い出すだけでニヤけてしまう自分は、もしかしたら変態なのかもしれない。

まぁ、今更だ。

緩んだ顔を引き締めバルコニーを出る。


そしてコノハはベッドルームの前に来た。

音を立てないよう静かに扉を開ければ、ベッドの上では愛しい人が自分のパジャマを抱きしめながら眠っている。

ローの睡眠が浅いことはよく知っている。
出会ってからずっとそうだから。

だからか眠っている姿を見ると、自分に気を許してくれているようでなんだか嬉しい。
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