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魔法の手【ONE PIECE】

第13章 約束して



夜になり、酒場では新しい仲間の歓迎会と称した宴が開かれていた。

この島唯一の大きな酒場が総勢21人となったハートの海賊団でごった返している。

「ふふっ、賑やか〜!」

疲労感と達成感で若干ハイなコノハがローへ寄り掛かる。

「ったく、あまり飲みすぎるな。疲れているからすぐ酔うぞ。」

コノハの酒の強さは筋金入りだ。

しかし、さすがに不眠不休が加われば酔いが回りやすくなるだろう。

手に持つジョッキを奪うとコノハが頬を膨らませる。

「むぅっ…。じゃあもし酔ったら宿までおんぶしてくれる?」

「…当たり前だ。」

ただでさえよく躓いて転びそうになっているのに、酔っ払ったりなんかしたらもっと危険だ。

「ふふっ、やったあ。」

照れ笑いをするコノハにローの目が細くなる。

「ヒュー!相変わらずアツアツぅ!」

が、ペンギンの一言でその目は鋭くなる。

「キャプテン、彼女さんにベタ惚れっすね!」

「お似合い〜!」

「サイコー!」

ワイワイと好き放題を言う新しいクルー達。

「もう、みんなしてキャプテンを困らせないでよ〜!」

そしてそれを止めるベポ。

今まで以上に賑やかな雰囲気にコノハの頬が緩む。

「楽しいな〜。誰かに話しかけよっと!」

後ろのテーブルに座るクルー達に話しかけようと振り向く。

あれ…?

見覚えのある人が店に入ってきた。

信じられないくらい外は寒いのに相変わらずの軽装。
マルコさんだ。

「お!パイナップル…じゃなくて、不死鳥のマルコ!……って痛ェっ!」

心の声がだだ漏れのペンギンをシャチが叩く。
この時ばかりはコノハもナイスだと思った。

「賑やかだなァ。」

ペンギンの声が聞こえているのかいないのか、マルコがカウンターに座る。

「あっ、マルコさん!良かったら一緒に…!」

気付けば言葉が飛び出していた。

恐る恐る横を見れば何か言いたげな顔をしたローと目が合う。

「…ダメ?」

別にやましい気持ちがあるとかではない。
ただみんなで一緒に楽しみたいだけ。

そんなコノハの心の内を探るようにローがしばらく黙りこむ。

「いや。」

思いが通じたのか、ローの返事は意外とあっさり。

「なら、お言葉に甘えて失礼するよい。」

そう言ってマルコはロー達の前に腰を下ろした。
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