第13章 約束して
その日の夕方。
一同は少年の家にいた。
すっかり元気になった少年がペンギンと家中を走り回る。
あの後、少年に薬を飲ませたコノハはあらかじめ作っておいた薬を自分も飲み、ローやマルコ、そして医者モドキ達にも飲ませた。
その後は病気の説明と薬の配合などを教えるために、ローと一緒に島の中心街にある薬屋を周った。
そして現在。
ひと段落ついたコノハは賑やかな声に包まれながら少し遠くを見つめていた。
奮闘した5日間。
初めての事ばかりで沢山試行錯誤を繰り返した。
ホッ島を出てしばらく経ったが、初めて本当の意味で人を助けられたような気がする。
嬉しいは嬉しい。
だが、どうしてもあの時手の力が使えなかった事が引っかかる。
忘れないうちにローに話さなければ。
「ロー、あのっ
「ちょっといいっすか!」
医者モドキによってコノハの声が掻き消される。
「…なんだ。」
家中を走り回るペンギンを睨みつけていたローは、側に立つ医者モドキを見やる。
医者モドキはローの鋭い視線に負けまいと顔を振った。
「あっ、あの…オレらを仲間にしてください!」
「「「お願いします!」」」
全員が頭を下げる。
突然の事に驚いたコノハは目を丸くする。
ローも一瞬目を丸くしたが、その表情はすぐに元に戻った。
「お前ェらがうちのクルーになって俺に何の得がある。」
「得っすか…えっと…」
思わぬ返しに医者モドキが視線を落とす。
だが次にローと視線をぶつけるまで、そう長くは掛からなかった。
「オレらは全員医療の知識があります。まだまだ未熟だけど、絶対役に立てるっす!」
真剣な眼差しでローを見る医者モドキ達。
確かに新世界へ行くには今のクルーの人数では難しいだろう。
コノハは別として、ベポにシャチにペンギン。
頼りにはなるが、もしも大規模な戦闘があったら頭数が少ないこちらはいつだって不利になる。
だがもしもコイツらが仲間になれば…
医者モドキ達を見ると、不思議とつなぎを着ている姿が自然と頭に浮かんだ。
「…必要な事は教えてやるが、俺は一切手加減しねェ。覚悟があるやつだけついて来い。」
「「「よっしゃー!!!」」」
こうして医者モドキ総勢16人はハートの海賊団のクルーとなった。