第13章 約束して
「俺からも、一ついいか。」
唇を離したローが再び大きな瞳を見つめる。
「お前は…人を殺すような事は絶対するんじゃねェ。」
突如耳にした言葉にコノハの顔が強張る。
「私、人なんて殺さないよ…。」
「それは分かっている。お前はそんな事絶対しねェ。だが出会った時に話していただろ。お前のその力は…願えば命は簡単に奪えちまうって。」
お前が優しいのは俺が一番分かっている。
だが万が一…
コノハとアイツが会っちまったら…
お前はどうする?
優しいからこそ、お前はアイツを殺すかもしれない。
「俺はお前のその手を血で汚してほしくねェ。何があってもだ。」
「分かってるよ、そんな事できる度胸なんて無いもん。」
「もしも俺が殺されたとしてもその相手を殺さないと約束できるか?」
「そ、れは…」
言葉を詰まらせたコノハが珍しく眉間に皺を寄せる。
「それは…約束できない……。それに私、ローに死んでほしくない。」
少し潤んだ瞳で俺を見つめるコノハの頭を撫でる。
「もしもの話だ。それに俺は簡単には死なねェ。」
俺が死んでほしくねェとか今はそういう話じゃねェんだが…
「なァ、約束してくれるか。その手は汚さねェって。」
頼むから約束してくれ。
お前には今のまま変わらずに生きてほしいんだ。
「……分かった。約束する。」
小さく頷くコノハの頭を再び撫でる。
「いい子だ。」
そのままこちらに抱き寄せれば、石鹸の香りがふわりと鼻腔に届いた。
匂いに反応してか、ムクリと反応する自身の下半身。
「コノハ…。シてェ。」
耳元で囁かれたコノハは咄嗟にローの胸に手を置く。
「だ、ダメ…!今日は寝よ?」
「…何故だ。月のものか?それにしちゃ随分と予定よりもズレているな。」
原因は何だと小さく呟いたローが顎に手を当てる。
いつのまに私の生理周期を…
ってそうじゃなくて…
「違うの、顔がいつもより疲れてるから…オペで疲れたでしょ?今日はゆっくり寝てほしいの。」
「確かに疲れたが…本当にそれが理由か?体調が悪いとかじゃねェだろうな?」
とことん心配性なローにコノハの眉尻が下がる。
その後なんとかローを説得したコノハ。
2人は疲れからか泥のように眠った。