第13章 約束して
「…オペ終了だ。」
額から流れる汗を拭いながらローが呟いた。
「おつかれだよい。」
「お疲れ様っス!」
それぞれがローに声を掛ける中、ただ一人コノハだけは頭を深々と下げた。
「ロー、お疲れ様でした。」
「あぁ。」
短く返事をしたローはその場で小さな体を抱き締める。
「っ…?ロー?」
突然の事で頭が回らないコノハはローの名を呼び、顔を上げる。
「…少し充電をさせろ。」
恥ずかしいのか耳を赤くしたローがそっぽを向く。
「ふふ、はぁい。」
そんなローが可愛くて背中に手を回す。
今の腑抜けた顔は誰にも見られたくない…
「アツアツだねぃ。」
完全に自分達の世界に入っている2人をマルコが笑う。
「いつもあんな感じ。」
「そうそう、オレたち困っちゃって。」
「ボクはもう慣れたよ。」
見慣れた風景にクルー達はやれやれと言わんばかりの顔だ。
「…。」
そんな会話をしっかりと聞いていたローは、すぅっと石鹸の香りを吸い込みコノハの体を離す。
「オレらは今日宿にでも泊まるが…、お前ェらはどうする。」
声を掛けた途端跳ねるクルー達の肩。
お前ェらの話は丸聞こえだ。
「えっ、あ、酒場にでも行っとくか!な、お前ら!」
焦った様子のペンギンが他の2人にSOSを送る。
「…そうか。おい、マルコ屋。このガキは絶対安静だ。明日の朝様子を見に来るが、面倒を頼めるか。」
「任せろよい。」
そう言ってローはコノハの手を引く。
「お前ェら面倒事だけは起こすなよ。朝ここに集合だ。」
「「「アイアイサー!」」」
「みんなおやすみ!」
「「「おやすみー!」」」
相変わらず気持ち良く揃うクルーの返事。
コノハが手を引かれながら笑っていると、玄関を開けた筈のローの足がピタリと止まった。
「…なんなんだ、お前ェらは。」
またも玄関先にいるのは医者モドキ。
しかも揃いに揃って頭を下げ、整列をしている。
「「「医療を教えていただきありがとうございました!」」」
ベポ達3人の声とは比にならない声量で、ローが顔を顰める。
「…うるせェヤツらだ。」
そう言ってローはポケットの中から金を出す。
「おい、シャチ。」
そして振り向きシャチにそれを投げる。
「酒場に行くならコイツらも連れて行け。」