第13章 約束して
玄関を開けた二人の目の前には、こめかみに青筋を立てるローとそれを止めるクルー達の姿があった。
「そこをどかねェなら今すぐ全員バラしてやる。」
「ちょ、ちょっと待ってくれって…!話だけでも……!」
既にサークル内に入っている男達は、血の気の引いた顔でローに訴える。
「キャプテン、話だけでも聞いてやったらどうっすか!」
我らが船長を止めようとクルー達が叫ぶも、その声はローに届かない。
「えっ、何事…!あの人たち一体ー
「あれが医者モドキだよい。」
のんきに答えるマルコにコノハの目が丸くなる。
(もっと早く言ってよ…!)
言うが早いか、玄関を飛び出したコノハはローの元へ全速力で駆け寄った。
「ロー…ッ!待って!」
息が上がったままローの手を掴むと、眉間に皺を寄せたローと目が合う。
「お前、こんなところで何している。」
この顔はアレだ。
多分怒っている。
「ったく、なんで上着も着ずに外へ出てきた…。」
怒るポイントそこなの?
きょとんとしたままでいると、ローの温かいコートに入れられてしまった。
(いや、そこじゃねェだろ!)
ローの過保護っぷりにはクルー達もツッコまずにはいられない。
(なんで私ローのコートの中に…)
じゃなくて…
「ロー、この人達は悪い人達じゃないの。」
そうしてコノハは医者モドキについて話した。
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全てを聞かされた俺は短くため息を吐いた。
「それで…そんなお前ェらが一体俺に何の用だ。」
睨むようにコイツらを見ると、その内の一人が前に出る。
「俺らに医療を教えてください!」
どいつもこいつも覚悟を決めたような目ェしやがって。
深々と頭を下げる医者モドキにローは舌打ちをする。
「…これからオペをする。見て覚えろ。」
「あ、ありがとうございます………!」
ローの言葉に医者モドキ全員が頭を下げる。
「家の中には入るな。そんな人数は入らねェし気が散る。見るなら窓からでも覗いておけ。」
そう言い残しコノハをコートに入れたままローは家へと入っていく。
(危機一髪〜!)
ダラダラと冷や汗を流していたクルー3人が胸を撫で下ろす。
(ハハハ、すごい溺愛してるよい。)
そして、2人を黙って見ていたマルコは苦笑するしかなかった。