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魔法の手【ONE PIECE】

第13章 約束して



「そこにまとめて置いといてくれると助かるよい。」

「分かりました!」

ローが出て行った後、私はマルコさんの指示でオペに必要な物を家中から集めていた。

「…ふぅ。」

一通りの準備を終え、少年が眠るベッドの隣に腰掛ける。

苦しそうな呼吸音と共に上下する胸。
素人から見ても容体が悪いのは一目瞭然だ。

なんとかしてあげたい思いでコノハが目の前にある手を握る。

ローがオペをするのは分かっている。
だけど私の力で治るならそれに越した事はない。

そして目を閉じ、心で願った。


しばらくしたのちコノハが目を開ける。

「アレ…?」

確かに今願ったはずなのに、ベッドに横たわる少年の容体は変わってないように見える。

気のせい?
願う力が弱かった?

自身の手を見つめるコノハにマルコが近付く。

「お嬢ちゃん、ちょっといいか。」

マルコの声でハッとしたコノハは声の方を見る。

もしや力のことがバレたのでは?
緊張で固まるコノハにマルコは微笑む。

「さっきの一言、カッコよかったよい。」

「…さっきの一言?」

予想外の言葉に肩透かしを食らう。
とりあえずはバレていないみたい…

「医者なのに見放すなんて最低って言葉だよい。」

そう言ってマルコさんは腕を組んだ。

「…ちょっと言い過ぎたかなって反省してます。」

確かにあの言葉は私の本心だ。
だけど最低までは言わなくても良かったんじゃないかと思う。

「ハハハ、反省する事は無ェさ。あの一言はアイツに深く刺さったと思うんだ。」

「だけどやっぱり言い過ぎてしまったし、嫌な態度もとってしまったし…」

己の行いを責めるコノハはため息を漏らす。

「お嬢ちゃんとアイツは恋仲だろ?」

恋仲…。

「えっ、と、まぁそうですね…。」

ストレートに聞かれ恥ずかしくなったコノハの声が小さくなる。

「アイツは誰がどう見てもお嬢ちゃんの事が大好きだよい。自分の好きな人に大切な事を気付かされるなんて、この上ない幸せはないよい。」

「確かに、そうかも…。あ、でも私の方が彼の事大好きなんです。」

照れながらも素直に思いを口にするコノハに、マルコは優しく微笑んだ。

(なかなか頑固そうな子だよい。)
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