第13章 約束して
「ちょ、ちょっと待って!そんな物騒な物出さないで!」
慌ててローの手を掴む。
「…なんだ、コイツの肩を持つのか。」
怪訝な目つきでローがこちらを睨む。
「違う、そういうワケじゃなくて…!」
どうしてそうなるのだろうか。
眉尻を下げたコノハがどうしようもなくローを見上げる。
「ハハハ!悪かった。俺は、白ヒゲ海賊団1番隊隊長のマルコだよい。」
マルコと名乗る人物が笑う。
「白ヒゲ海賊団だと…?」
ローの眉がピクリと動く。
白ヒゲ海賊団1番隊隊長兼船医の不死鳥マルコ。
まさかこんなところで会うとは…。
「ロー、知ってるの?」
「…あぁ、海賊なら誰でも知ってる。白ヒゲ海賊団の船長白ヒゲは四皇の一人だからな。」
「ヨンコー?」
頭にハテナを浮かべたコノハが首を傾げる。
「…説明は後だ。今は黙って俺の後ろにいろ。」
ただならぬ様子のローにコノハは何かを感じ取った。
急ぎ足でローの後ろに隠れ、二人を伺う。
「そんな構えなくていい、別に危害は加えないよい。」
「…白ヒゲ海賊団1番隊隊長がなぜここに?」
この島はコイツらの縄張りか…?
「俺は船医だからなァ。必要な薬を求めてちょっくら旅をしてたんだが、たまたま急病人を見つけてねぃ…重病なんだ、治療をしてるんだよい。」
「治療だと…?アンタの能力で治らねェのか。」
船医である以前にコイツは能力者だ。
自身の能力を使って他者の傷などを回復させられると聞いたことがあるが…。
「俺の能力には限度があるんだよい。オペでも出来ればいいんだが、一人じゃ難しいんだよい。」
「…そうか。」
あいにく俺は見ず知らずの他人を治療するほどお人好しじゃない。
ひとまずこの場を去ろうと動こうとした時、黙って聞いていたコノハが後ろから顔を覗かせた。
「ロー、診てあげたら…?」
袖を引っ張り見上げるコノハにため息を吐く。
「…俺には関係ねェ。」
俺の一言で大きな瞳が揺れた気がした。
コノハはそう、と呟き目線を落としたあと再び俺を見上げる。
「医者なのに見放すなんて最低。」
「ッ…。」
真っ直ぐ俺を見つめるコノハに思わず言葉が詰まった。