第12章 まるで魔法だな
ローが風呂に入ってから、コノハは一度自室に戻りある物を持ってきた。
「どうしよう…。あれ毒かなんかだったのかな…。」
サイドテーブルに置かれた瓶は、あの時ペンギンからプレゼントされた酒。
結構強いから寝る前に飲んだ方がいいと言っていたから飲んでしまったが…
「うぅ、あっつい。何これ…。」
さっきからなにやら体が熱い。
それになんだか下腹部が疼くような気もする。
お酒に耐性はある方だと思ってはいたが、こんな強いモノは初めてだ。
体の熱をどうしたらいいのか分からず、ただ時間だけが過ぎていく。
いつしか部屋に響いていたシャワーの音は聞こえなくなり、風呂場の扉が開かれた音が耳に届く。
「ロー…?」
その声を頼りにベッドへ向かえば、コノハは仰向けで自分を見上げる。
紅潮した顔に潤んだ瞳。
自分が風呂に入っている間、彼女に何かあったのだとローは瞬時に理解した。
ローが体温を確認しようと細い首筋に手を当てると、コノハの体が小さく跳ねる。
「んっ…。」
少し熱いような気もするが、熱がありそうな感じはない。
脈だって普段より少し早いだけでそこまで気にするほどでもない。
それなら何が原因なのかと、ふとサイドテーブルを見るとある物が目に飛び込んだ。
「まさかだとは思うが、これを飲んだのか。」
ベッドサイドに置かれた瓶を手に持てば、コノハは小さく頷く。
「ペンギンにもらったんだけど、こんな強いお酒だとは思わなくて…。」
「酒だと…?」
酒豪であるコノハが少量で酔う酒など、一体どんな酒なのだろうか。
空になった小瓶に鼻を近付けるとローは何かを理解したのか、不適な笑みを浮かべる。
「コノハ、服を脱げ。」
突然体を起こされたコノハは、その言葉に目を丸くする。
「え、こんな時に…
「何を勘違いしている。診察だ。」
一瞬よからぬ事を想像してしまったが、確かに体を診てもらわない事には何も分からない。
ローの企みなど気付きもしないコノハは、言われるがままに服を脱いでいく。