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魔法の手【ONE PIECE】

第11章 触らないで



全速力でなんとか船の自室に戻ってきた。

あのままあの場にはいたくなかった。
この行動は最善と言えるだろう。

さっきからもの凄い早さで脈打つ心臓をなんとかしようと胸に手を置くと、部屋の扉が勢いよく開いた。

「コノハッ…!」

振り向けばそこには同じように呼吸を乱したローの姿。

じりじりと距離を詰め寄られ、自然に体が後退りをする。

「オイ…。」

ローが自分の腕を掴んだ時、頭に思い浮かんだのはさっきの光景。

「触らないで…っ。」

消え入りそうな声が耳に届くと、ローは目を見開いた。

涙目で自分を見上げるコノハに掴んだ手に力が入る。

「話をー

「お願い、今すぐ出てって…。」

弱々しい声が部屋に響く。

遂に溢れた涙を隠すようにコノハは俯いた。


顔を顰めたローは掴んでいる腕を離すと、無言で部屋を出て行く。

重たい扉が閉まる音と共にコノハはベッドに身を投げた。


「うっ、うぅ…!」

とめどなく流れる涙が枕を濡らす。


あの時の光景が頭から離れない。
他の人とキスしているところなど、見たくもなかった。

ローが2人で話がしたいと言った時、行かないでと言えばその場にとどまってくれただろうか。
いや、結局行ってしまっただろう。

あの人の事が好きなのにどうして私を側に置くの?
どうして愛ある言葉を投げかけるの?

もうローが分からない。


「うぅ…頭痛い…。」

この頭痛が酒によるものなのか、泣きすぎによるものなのかも分からない。

明日起きたら薬を飲もう。
ひとまず今日はもう何も考えずに寝よう。

重い瞼を閉じたコノハはそのまま深い眠りへと落ちていった。
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