• テキストサイズ

魔法の手【ONE PIECE】

第11章 触らないで



不穏な気配に気付いたローはすぐさま後ろを振り向く。

「あら、ロー?ずいぶんと久しぶりね。」

こちらに向かって笑う女に賑やかだったテーブルは一気に静まる。

「イヴ…テメェがなんでこんな所に…。」

なにやらローはこの女性を知っているらしい。

スラリと曲線を描く体、自分とは正反対の綺麗な顔立ち。
突然現れた女にコノハの顔は強張った。

「なんでって、情報屋なんだから色んな所にいるのは当然でしょう?」

近付いてきた彼女はごく自然にローの肩に手を乗せる。

その瞬間コノハの胸がざわめく。
この感情は知っている。嫉妬だ。

「その手をどかせ。気安く触んじゃねェ。」

そんなコノハの気持ちを読み取ったように、ローは怪訝そうな目つきで女を睨む。

「…相変わらず冷たいのね。あんなに愛し合っていたのに。」

そう言うと女は、鋭い目つきに負けじと視線を絡ませる。


会話を聞いていたコノハは震える拳を強く握りしめていた。

愛し合っていた。
その言葉を知らないほど自分も馬鹿じゃない。

横を向けばバツが悪そうな顔をしたローと目が合い、胸を抉られたような痛みが走る。

「って、もしかして隣のお嬢さんは新しいお仲間?…ってワケでも無さそうね。」

「俺の女だ。」

「んふっ、でしょうね。」

2人の会話を聞くことしかできないクルー達とコノハ。

しばらく沈黙が続くと、ローは何かを考えこみ口を開く。

「2人で話がしたい。」

ローの放った言葉に、その場にいた全員が自身の耳を疑った。

「悪ィ、すぐ戻る。」

置いてけぼりの4人をよそに、ローは小さな頭を撫でる。


行かないで。
そう言えたらどんなに楽か。
それでもコノハは口を開かない。

開いてしまえば、きっと泣いてしまうから。
ワガママを言えば迷惑になるから。

喉元まで来ている言葉を飲み込むと、コノハは小さく頷いた。
/ 225ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp