第9章 あんな所で満足してんじゃねェ
恥ずかしさのあまり潤んだ瞳でローを見るコノハ。
それを楽しそうに見やるローの目は、獣そのものだ。
「それにしても…こんな本を買ってやがったとはな。」
顔を赤くしたコノハの腰に手を回すローは、この上ないほど機嫌が良さそうだ。
絡みつくような視線に、コノハが重い口を開く。
「ひ、どいよ…。知らないフリしてくれても良かったのに。」
消え入りそうなその声は距離の近いローにしか聞こえない。
「まァ…せっかくだ。男が喜ぶセックスとやらを披露してもらおう。」
弧を描く口に、コノハの体が強張る。
「ま、待って…。私、ちゃんと見てないしあんまり理解できなかった…の。」
厚い胸板に手を置くと、分かってくれたのかローはため息を吐く。
ホッと胸を撫で下ろしたのも束の間、なにやら不敵な笑みを浮かべたローはコノハの耳元で囁いた。
「なら俺が教えてやる。」
甘く酔いしれそうな低い声に勢いよく顔を離す。
何度見ても慣れない雄の目をしたローの顔が大きな瞳に映ると、観念したコノハは小さく頷いた。
「自分で脱いでみろ。下着も全部だ。」
聞き覚えのあるセリフにコノハは従うことしかできない。
どう足掻いたって、もうこの獣は止められないのだから。
「ッ…。」
パジャマとして着ていた長めのTシャツを脱ぎ、ブラジャーを外すと自分の体を隠すようにローに抱き付くコノハ。
ショーツは履いたままでいるものの、それは大目に見てやろう。
その愛らしい行動にローの自制心は狂っていく。
「いつまでそうしているつもりだ。」
胸に顔を埋めたままでいるとローの楽しそうな声が耳に届き、ゆっくりと顔を上げる。
「うっ…。」
ギラついた目で見られ自然と下半身が熱くなってしまうコノハは、それを隠すように手をローの頬に持っていくとそのまま唇を重ねる。
数秒触れただけのキスをし、顔を離すとローの手が小さな頭を捕える。
「足りねェ。」
体に力が入るより先に、飢えた獣は美味しそうな唇に喰らいついた。