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魔法の手【ONE PIECE】

第9章 あんな所で満足してんじゃねェ



風呂場の扉が閉まる音にローはソファーから腰を上げると、そのまま自分のデスクへと向かう。

さっき風呂から出た瞬間焦った様子で引き出しを閉じたコノハ。
あんな顔は見たことがない。

愛しの彼女に隠し事などされたくないローは、普段なら見向きもしない引き出しを開ける。

押し込んだことで引き出しの奥に行ってしまったモノを掴み、そのまま勢いよく手を引くロー。

掴んだ本を顔の前に持ってくると、切れ長い目が大きく見開く。

「ッ…!」

一瞬、ローの中で時間が止まる。

素直なくせに、相変わらず何を考えているか分からないコノハ。
それでも彼女の思考を読み取ろうと、手に持つ本をペラペラと捲っていく。

「ククッ…。」

彼女には似合わない単語ばかりが並ぶ本に、ローの口元はだんだんと釣り上がっていく。


何かを考えついたローは、再びソファーに腰を下ろす。


ローの企みなど知る由もないコノハは、鼻歌交じりにシャワーを浴びていた。









「お風呂気持ちかった〜!」

風呂から出ると、長い髪を拭きながらこちらに向かってくるコノハ。
何も知らない彼女は温かいお湯に浸かれたのがよほど嬉しいのか、ローに笑顔を向ける。

「あぁ、良かったな。」

その笑顔に弱いローは、自然と口元が綻ぶ。

そのままローの隣へと腰を下ろすコノハ。
いつもよりも石鹸の匂いを漂わせる彼女にローの魔の手が伸びる。


「コノハ。これは一体なんだ。」

声の方を向きローの手に持つソレを見た瞬間、今まで目尻を下げていたその目が大きく見開く。

「なっ…!?」

その手に持つのは、さっき自分が間違いなく隠すようにしまった本。
隠した場所を見ると、開けられたままの引き出しが目に飛び込んだ。

ちゃんと閉めた筈なのに。


口をパクパクさせるコノハに、ローの喉がクツクツと鳴る。

「ククッ…。ちゃんと頭には叩き込めたか。今から実践してもらうぞ。」

未だ髪が濡れているコノハを軽々と抱き上げると、そのまま自分の上に乗せるロー。

持っていた本をソファーの端に置き、コノハがそれを目で追う。


その本は間違いなくセントポプラで自分が買ったもの。


本の表紙には「男が喜ぶセックス」と書かれている。
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