第2章 教えてあげる
「ほんと愛されてんねー早織」
「そう………かな?」
「すんごい過保護だよね雅哉くん」
咲良ちゃんと由佳ちゃんは口々にそう言う。違うよそんなんじゃないんだよって言いたいけど、なぜだか言葉は出てこない。
「血繋がってないんでしょー?あんなイケメンだし好きになっちゃったりしないの??」
「しないよ。だって小さい時から一緒にいるし。ほんと兄妹って感じ」
「私だったら好きになっちゃうかも」
「やめた方がいいよ。あんなやつ」
「あんなやつ?」
しまった。独り言のつもりが2人にも聞こえてしまったみたいだ。
「あー、なんていうか、全然優しくないし?」
私は咄嗟に理由を考えた。なんかもう、よく分からない。
「えー。優しそうなのにぃ。やっぱり妹には気許してるから本当の顔見せれるみたいなやつ?」
「た、多分?」
雅哉は私の事なんてなんとも思ってないんだ。たまたま、私と家族になったから。そういうことしてくるだけ。
それ以上でも、以下でもない。
「でも早織が羨ましいなー」
「そう?」
「あんなイケメンを四六時中拝めるんでしょ?羨ましすぎるって」
確かに顔はいい。顔は。
「昔から見てるとね、なんとも思わないよ」
「てか早織、首のやつキスマ?」
「へ?」
急に話の話題が変わる。なんの事か分からない私に咲良ちゃんが鏡を渡してくれた。
ポケットにしまってある鏡を取りだして首元を見てみるとくっきりと痣のようなものが着いていた。
こんな所ぶつけようが無いし、もしかしてあの夢は本当だったの?
「もしかして…………お兄ちゃん?」
「そんなわけないよ!!多分虫刺され?とかじゃない??」
2人ともほんとう?と言って怪しんでいる。
違うよ。絶対。これは何かの間違いだと思いたい。