第2章 教えてあげる
朝起きてリビングに行くと、お母さんと雅哉の姿があった。
「早織おはよう」
「ちょうどご飯できたところよ」
雅哉はにっこり笑って昨日のことはまるで無かったみたいだ。お母さんも笑顔で雅哉と話してる。騙されてるよ。
ご飯は雅哉の隣で食べる。みんなが座った時、お父さんもリビングに来た。
4人で食卓を囲んでご飯を食べる。それが私たちの日常。正直隣に雅哉がいて、ご飯がちっとも美味しく感じられない。とても居心地が悪いのは確かだった。
***
「それじゃ行ってきます」
「行ってきます」
お母さんが玄関まで来て見送ってくれる。本当に学校に行きたくない。また今日も雅哉と登校しなければいけない。
2人で玄関を出て歩く。訪れるのは沈黙。それを破ったのは雅哉だった。
「今日も迎えに行くから」
「……………」
「わかった?」
「……………うん」
有無を言わせぬ圧。頷くことしか許されないのだ。
「昨日の約束覚えてる?」
昨日と言われて私は血の気が引いた。思い出したくなんかないのに。
「覚え、てるよ」
「破ったら………罰ゲームね」
雅哉の顔は至って真面目で冗談を言っているようには思えない。冗談だったら良かったのに。これで笑えればよかったのに。
「じゃあまた後で」
「ばいばい………」
お互いの教室につき、やっと雅哉から解放された。