• テキストサイズ

fou d’amour

第2章 教えてあげる


雅哉のせいで常に、鎖で雁字搦めに縛られて、監視されている気分。思うように身動きが取れない。


授業を受けている時だって。友達と話している時だって。とっくに雅哉に毒されてる。


「早織はさ、彼氏ほしいとか思わないの?」

「うーん。思ったことないかもなあ」

お昼休み、いつも通りお弁当を広げて女子トークに花を咲かせていた。

「まあそうだよねぇ。早織は雅哉くんが彼氏みたいなもんだしね」

「ち、ちがうよ!!雅哉はただのお兄ちゃん!」

「そうは見えないよー?はたから見たらカップルだってあんなの。」

確かに、血も繋がってなくていくら兄妹とはいえど、あの距離感はおかしいのかもしれない。

「早織自覚ないと思うけど、結構あんたモテてるよ?私の彼氏が言ってた」

「そんなの絶対うそだよ」

ウソついてなんのメリットがあるのさと笑う友達。

「だからね、悲しんでる男子もいるんだよ?雅哉くんとずっと一緒にいて、隙がないってね」

卵焼きをぱくりと口に含んで言った。そんなことあるわけない。きっとからかってるに違いない。

「モテる女はたいへんだね?」

「いやいや、モテてないよ」

「雅哉くんのせいで視野が狭くなってるんだね。もっと周りの男に目向けてみな?早織のこと見てる人ばっかりだよ」

感じたこともないよ、視線なんて。
/ 63ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp