第2章 教えてあげる
雅哉のせいで常に、鎖で雁字搦めに縛られて、監視されている気分。思うように身動きが取れない。
授業を受けている時だって。友達と話している時だって。とっくに雅哉に毒されてる。
「早織はさ、彼氏ほしいとか思わないの?」
「うーん。思ったことないかもなあ」
お昼休み、いつも通りお弁当を広げて女子トークに花を咲かせていた。
「まあそうだよねぇ。早織は雅哉くんが彼氏みたいなもんだしね」
「ち、ちがうよ!!雅哉はただのお兄ちゃん!」
「そうは見えないよー?はたから見たらカップルだってあんなの。」
確かに、血も繋がってなくていくら兄妹とはいえど、あの距離感はおかしいのかもしれない。
「早織自覚ないと思うけど、結構あんたモテてるよ?私の彼氏が言ってた」
「そんなの絶対うそだよ」
ウソついてなんのメリットがあるのさと笑う友達。
「だからね、悲しんでる男子もいるんだよ?雅哉くんとずっと一緒にいて、隙がないってね」
卵焼きをぱくりと口に含んで言った。そんなことあるわけない。きっとからかってるに違いない。
「モテる女はたいへんだね?」
「いやいや、モテてないよ」
「雅哉くんのせいで視野が狭くなってるんだね。もっと周りの男に目向けてみな?早織のこと見てる人ばっかりだよ」
感じたこともないよ、視線なんて。