第5章 しみずくん
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「おはよう。昨日はよく寝れた?」
気づいたら朝になっていて、いい匂いで目が覚めた。清水くんは私より先に起きてたみたいでキッチンでご飯を作っている。いまいち昨日の夜のことを思い出せない。ベッド入った記憶すら曖昧だった。
「私いつの間に寝ちゃってたんだ。夜のことなんにも思い出せない」
何かがあったはずなのに、考えても何も出てこない。それでもなにかしでかしたような気がする。
「そうなんだね。昨日の夜早織さんすごく可愛かったよ」
「え?」
「なんでもない。ご飯できたから食べよう。起きれる?」
意味深なことを言った癖にサラッと流されてしまった。清水くんの言葉が気になって仕方ない。
やっぱり清水くんの作ったご飯は美味しくて、さっきの事なんか気にならなくなった。
「ほんとにありがとうね。泊めてくれて」
「いいよ。またいつでも来ていいからね」
清水くんは優しく微笑んだ。胸が少しだけキュンとなったような気がした。