第2章 教えてあげる
私が問題をといている間雅哉は、私の髪の毛を掬って指を通したり。そのまま自分の鼻に近付けたり好き放題している。
さっきのより随分マシだけど、やっぱり気が散ることに違いはない。
「早織髪切るの?」
「わかんない」
「切らないでよ。伸ばして」
毛先で遊びながら雅哉は言った。雅哉ってロングがタイプなんだっけ?
「…………わかった」
元々伸ばす気でいたし、切るつもりもなかったから。
「絶対だよ」
雅哉は笑う。こんな穏やかな雰囲気を2人で過ごすのはいつぶりだろうと思う。
問題は残り半分に差し掛かった時、首筋に指先が触れた。つーっと上から下にかけてなぞる。
「早織って首弱いよね。ちょっと触っただけで感じちゃうもんね?」
「感じてなんか、っ」
髪を退かして無防備になった首筋に吸い付いた。そのまま何度も首筋にキスを落とす。
「まさや、首ばっかり、やぁっ、だ………」
「その声興奮する。もっと虐めたくなる」
「ふっ、んぁ……ぁ」
唇から熱が伝わってくる。指先から力が抜けてシャーペンを落としてしまう。
「まさやぁ……………」
生理的な涙が滲む。雅哉の方を見ると、ごくんと息を飲んだのがわかった。
「その顔、加虐心煽るだけっていい加減学べよ」