第2章 教えてあげる
一旦、2人とも制服から部屋着に着替える。着替え終わると雅哉が私の部屋に入ってきた。
「前回のテスト見せて」
36と書いてある数学のテストを恐る恐る雅哉に見せた。
「はあ………」
すると雅哉は大きなため息をついた。
「こんなバカが俺の妹だなんて信じられねえ」
「………ごめんなさい」
少し不機嫌な雅哉。怖くて勉強なんか出来るはずがない。
「この公式じゃない。こっち使うの」
チェックがつけられている問題。雅哉はシャーペンを持ち、書き込み始めた。
案外あっさり教えてくれることに驚きが隠せない。
「聞いてる?」
「う、うん」
嫌な顔をされたが、間違っている問題をどんどん解説していく雅哉。
分かりやすくてやっぱり頭いいなと思い知らされる。
「ひと通りこんな感じ。それじゃ今から全部解きなおして」
「と、ときなおすの?」
「そりゃそうだろ。出来なきゃ意味ねえんだから。てかちょっとそこどいて。立ってんの疲れた。座りたい」
それはつまり椅子から立てと?私が立つとすぐに椅子に座った。
そしてルーズリーフを取り出して机に置いた。
シャーペンでスラスラと問題を書いていく。
「はい。これ全部解いて」
問題を写し終えても椅子から立とうとしない。
「ごめん雅哉。私も椅子座りたいんだけど………」
「座ればいいじゃん。ここ」
雅哉は自分の足を叩いた。
「いや、でもそこ雅哉の上じゃん」
「じゃあ立ったまま問題解くの?」
そういう訳には行かないけど…………
「早く座れって」
「きゃっ」
腰を引き寄せられて無理やり上に座らせられた。