第2章 教えてあげる
また今日も、学校が終わり雅哉と帰る時間がやってくる。
「早織帰ろう」
「うん」
隣に並ぶのが少し怖かった。
「どうしてそんなに怯えるの?今日の早織はなにもわるいことしてないでしょ?」
「ごめんなさい」
私はもうどうしたらいいか分からなくて、謝ることしか出来ない。
雅哉はそう。謝れば怒らない。
「僕、聞き分けのいい早織は好きだよ」
さらっとそんなことを言って笑った。僕って言ってる。
雅哉は一人称が変わる。
機嫌がいい時と学校にいる時は『僕』。2人きりの時ときは俺。だから今の感じに違和感があった。
「でも早織成績悪いんだって?」
「なんで知ってるの?」
「先生から聞いた。『何とかしろって』言われちゃったよ」
そう。私は勉強が出来ない。やっているのに伸びない。それに比べて雅哉は秀才。
昔からよく比べられてた。それが嫌で仕方なかった。だから頑張ってるのに、やっぱり結果は変わらない。
「次のテストまでにはその頭、何とかしなくちゃね」
バカにしたように言った。酷い。